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古事記 / 中巻・天下太平と御真木天皇

故號其河。謂鵜河也。亦斬波布理其軍士故。號其地。謂波布理曾能(山城相樂綴喜郡)。(自波下五字以音)如此平訖。參上覆奏。故大毘古命者。隨先命而。罷行髙志國。爾自東方所遣建沼河別。與其父大毘古。共往遇于相津(陸奧國會津郡)。故其地謂相津也。是以各和平所遣之國政而覆奏。爾天下太平。入民富榮。於是初令貢男弓端之調。女手末之調。故稱其御世。謂所知初國之御眞木天皇也。

新字:故号其河。謂鵜河也。亦斬波布理其軍士故。号其地。謂波布理曽能(山城相楽綴喜郡)。(自波下五字以音)如此平訖。参上覆奏。故大毘古命者。随先命而。罷行高志国。爾自東方所遣建沼河別。与其父大毘古。共往遇于相津(陸奥国会津郡)。故其地謂相津也。是以各和平所遣之国政而覆奏。爾天下太平。入民富栄。於是初令貢男弓端之調。女手末之調。故称其御世。謂所知初国之御真木天皇也。

書き下し

かれその河を号けて鵜河と謂ふ。また、その軍士を斬り波布理しかば、その地を号けて波布理曽能(山城相楽綴喜郡)と謂ふ。(波より下の五字は音を以ゐよ。)かくの如く平らげ訖へて、参上りて覆奏しき。かれ大毘古命は、先の命のまにまに、高志国に罷り行きき。ここに東の方より遣はさえし建沼河別、その父大毘古と共に、相津(陸奥国会津郡)に往き遇ひき。かれその地を相津と謂ふなり。ここを以て各遣はさえし国の政を和平して覆奏しき。ここに天の下太平らぎ、人民富み栄えき。ここに初めて男の弓端の調、女の手末の調を貢らしめき。かれその御世を称へて、初国知らしし御真木天皇と謂ふなり。

現代語訳

その河を鵜河と名づけました。また、その兵士たちを斬り散らしたので、その地を波布理曽能と名づけました。こうして平定を終え、参上して報告しました。大毘古命は先の命令のとおり、高志国に向かいました。東の方へ派遣された建沼河別は、その父の大毘古命と共に、相津で行き会いました。そこでその地を相津と呼びます。こうして、それぞれ派遣された国の政を平和に整えて報告しました。天下は太平になり、人民は富み栄えました。そこで初めて、男の弓端の調、女の手末の調を貢納させました。それでこの治世をたたえて、初めて国を治めた御真木天皇と呼びます。

解説

反乱を鎮め、各方面に出た父子が相津で出会い、政を整えて報告し、天下が太平になります。このとき初めて男の弓端の調(獲物)、女の手末の調(織物など)という貢ぎ物の制度が始まったと記されます。これが、初国知らしし御真木天皇という称えの名の由来です。派遣、報告、貢納という流れは、統治の仕組みが整う過程と読めます。制度の起点を人々の働きに応じた形で定めた点が重要です。リーダーは、混乱を治めたあとに、公平で続けやすい仕組みを置いて成果を定着させる責任を負います。

この章句が説くこと

古事記崇神天皇初国知らしし調相津太平

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