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古事記 / 中巻・崇神崩御と垂仁の系譜

又是之御世。作依網池。亦作輕之酒折池也。天皇。御歳壹佰陸拾捌歳。(戊寅年十二月崩。)御陵在山邊道勾之岡上(城上郡)也。伊久米伊理毘古伊佐知命(仁【選/遲】)。坐師木玉垣宮(城上郡)。治天下也。此天皇娶沙本毘古命之妹佐波遲比賣命。生御子品牟都和氣命。(一柱。)又娶旦波比古多多須美知能宇斯王(開化皇子日子坐王子)之女。氷羽州比賣命。生御子印色之入日子命。(印色二字以音)次大帶日子淤斯呂和氣命(衍)。(自淤至氣五字以音)次大中津日子命。次倭比賣命。次若木入日子命。(五柱。)又娶其氷羽州比賣命之弟沼羽田之入毘賣命。生御子沼帶別命。次伊賀帶日子命。(二柱。)又娶其沼羽田之入日賣命之弟阿邪美能伊理毘賣命。(此女王名以音)生御子伊許婆夜和氣命。

新字:又是之御世。作依網池。亦作軽之酒折池也。天皇。御歳壱佰陸拾捌歳。(戊寅年十二月崩。)御陵在山辺道勾之岡上(城上郡)也。伊久米伊理毘古伊佐知命(仁【選/遅】)。坐師木玉垣宮(城上郡)。治天下也。此天皇娶沙本毘古命之妹佐波遅比売命。生御子品牟都和気命。(一柱。)又娶旦波比古多多須美知能宇斯王(開化皇子日子坐王子)之女。氷羽州比売命。生御子印色之入日子命。(印色二字以音)次大帯日子淤斯呂和気命(衍)。(自淤至気五字以音)次大中津日子命。次倭比売命。次若木入日子命。(五柱。)又娶其氷羽州比売命之弟沼羽田之入毘売命。生御子沼帯別命。次伊賀帯日子命。(二柱。)又娶其沼羽田之入日売命之弟阿邪美能伊理毘売命。(此女王名以音)生御子伊許婆夜和気命。

書き下し

また、この御世に、依網池を作り、また軽の酒折池を作りき。天皇、御歳一百六十八歳(戊寅の年の十二月に崩りたまひき)。御陵は山辺の道の勾の岡の上(城上郡)にあり。伊久米伊理毘古伊佐知命(垂仁)、師木の玉垣宮(城上郡)に坐しまして、天の下を治らしめしき。この天皇、沙本毘古命の妹、佐波遅比売命を娶して、御子品牟都和気命(一柱)を生みたまひき。また旦波比古多多須美知能宇斯王(開化皇子日子坐王の子)の女、氷羽州比売命を娶して、御子印色之入日子命(印色の二字は音を以ゐよ)、次に大帯日子淤斯呂和気命(衍)(淤より気に至る五字は音を以ゐよ)、次に大中津日子命、次に倭比売命、次に若木入日子命(五柱)を生みたまひき。また、その氷羽州比売命の弟、沼羽田之入毘売を娶して、御子沼帯別命、次に伊賀帯日子命(二柱)を生みたまひき。また、その沼羽田之入日売命の弟、阿邪美能伊理毘売命(この女王の名は音を以ゐよ)を娶して、御子伊許婆夜和気命、

現代語訳

また、この治世に依網池を作り、軽の酒折池も作りました。天皇は御年百六十八歳で、戊寅の年の十二月に崩御しました。御陵は山辺の道の勾の岡の上にあります。伊久米伊理毘古伊佐知命(垂仁天皇)は師木の玉垣宮にいて天下を治めました。この天皇は沙本毘古命の妹、佐波遅比売命を妻とし、御子の品牟都和気命を生みました。一柱です。また旦波比古多多須美知能宇斯王の娘、氷羽州比売命を妻とし、御子として印色之入日子命、次に大帯日子淤斯呂和気命、次に大中津日子命、次に倭比売命、次に若木入日子命の五柱を生みました。また氷羽州比売命の妹の沼羽田之入毘売を妻とし、御子として沼帯別命、次に伊賀帯日子命の二柱を生みました。また沼羽田之入日売命の妹の阿邪美能伊理毘売命を妻とし、御子の伊許婆夜和気命を生みました。

解説

崇神天皇の治世の最後に、池を作った事績が記され、崩御と御陵が続きます。依網池、軽の酒折池という水利の整備は、民を富ませる基盤づくりを物語ります。次に垂仁天皇の代が始まり、后妃と御子が示されます。冒頭の后は沙本毘古命の妹の佐波遅比売命で、これが後の出来事につながる前提です。大帯日子淤斯呂和気命に(衍)の注記が付くのは、写本上の注意書きです。水を整えるなど民の暮らしを支える事業は、トップの目立たない大切な役目です。

この章句が説くこと

古事記崇神天皇垂仁天皇依網池系譜沙本毘売

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