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肝要工夫録 / 子孫のための陰徳

君子は、遠き慮ありて、かならず近き憂なしとかや。人たる者、おのれ一代の繁昌をはからずして、子孫の繁昌をのみはかりたき事なり。我々が先祖も、子孫のことを思ひて忠勤を重んじ、一命を戰場に輕んずればこそ、かく今疊のうへの有がたき御奉公を勤め、妻子も安樂に養ふことゝなれば、おのれも、又子孫の事を思ひて、忠勤を專らにし、唯だ陰德を積むべきこと肝要なり。愚歌に、

新字:君子は、遠き慮ありて、かならず近き憂なしとかや。人たる者、おのれ一代の繁昌をはからずして、子孫の繁昌をのみはかりたき事なり。我々が先祖も、子孫のことを思ひて忠勤を重んじ、一命を戦場に軽んずればこそ、かく今畳のうへの有がたき御奉公を勤め、妻子も安楽に養ふことゝなれば、おのれも、又子孫の事を思ひて、忠勤を専らにし、唯だ陰徳を積むべきこと肝要なり。愚歌に、

書き下し

君子は、遠き慮ありて、かならず近き憂なしとかや。人たる者、おのれ一代の繁昌をはからずして、子孫の繁昌をのみはかりたき事なり。我々が先祖も、子孫のことを思ひて忠勤を重んじ、一命を戰場に輕んずればこそ、かく今疊のうへの有がたき御奉公を勤め、妻子も安樂に養ふことゝなれば、おのれも、又子孫の事を思ひて、忠勤を專らにし、唯だ陰德を積むべきこと肝要なり。愚歌に、

現代語訳

君子は遠い慮りがあって、必ず近い憂いがないといいます。人たる者は、自分一代の繁昌をはからず、子孫の繁昌をこそはかりたいものです。我々の先祖も、子孫のことを思って忠勤を重んじ、一命を戦場で軽んじたからこそ、今こうして畳の上で、ありがたくご奉公を勤め、妻子も安楽に養うことになったのです。自分もまた子孫のことを思って、忠勤を専らにし、ただ陰徳を積むことが肝要です。拙い歌に、

解説

子孫の繁昌のために、自分の代で忠勤と陰徳を積めという条です。先祖が戦場で命を懸けたからこそ、今の泰平の暮らしがあるという前提のもと、自分の代は次の代の土台になると考えさせます。冒頭には、遠い慮りのある者に近い憂いはないという言葉が置かれます。現代の組織では、自分の任期の成果だけでなく、後任や次世代に何を渡せるかという視点です。管理職は、短期の数字と並んで、人材や信頼、仕組みを残す意識を持つことが、長期の繁栄につながります。

この章句が説くこと

子孫陰徳遠き慮り忠勤先祖長期視点

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