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肝要工夫録 / 暗闇の盗人の歌

くらやみの、よくみてゐるを、知らずして、寶とられに、はいる盜人。日夜の行、天神鬼神の見聞をおそれて、人なき所、暗所といへども、自らかへりみて、心に恥づることあらば、いさゝかの事といへども、堅固に愼み謹むべきこと、肝要の工夫なり。道歌に、愼みを、人の心の、根とすれば、言葉の花も、まことにぞ咲く。

新字:くらやみの、よくみてゐるを、知らずして、宝とられに、はいる盗人。日夜の行、天神鬼神の見聞をおそれて、人なき所、暗所といへども、自らかへりみて、心に恥づることあらば、いさゝかの事といへども、堅固に慎み謹むべきこと、肝要の工夫なり。道歌に、慎みを、人の心の、根とすれば、言葉の花も、まことにぞ咲く。

書き下し

くらやみの、よくみてゐるを、知らずして、寶とられに、はいる盜人。日夜の行、天神鬼神の見聞をおそれて、人なき所、暗所といへども、自らかへりみて、心に恥づることあらば、いさゝかの事といへども、堅固に愼み謹むべきこと、肝要の工夫なり。道歌に、愼みを、人の心の、根とすれば、言葉の花も、まことにぞ咲く。

現代語訳

「くらやみの、よくみてゐるを、知らずして、宝とられに、はいる盗人」。(暗闇がよく見ているのを知らずに、宝を取られに入る盗人、という意味の歌です。)日夜の行いは、天神や鬼神が見聞きしていることを畏れて、人のいない所や暗い所でも、自ら顧みて心に恥じることがあれば、わずかなことでも、堅固に慎み謹むことが、肝要の工夫です。道歌に、「慎みを、人の心の、根とすれば、言葉の花も、まことにぞ咲く」。(慎みを人の心の根とすれば、言葉という花も、真実のものとして咲く、という意味です。)

解説

前条を受けて、暗闇で盗もうとする者こそ、暗闇に見られていることを知らないという歌を挙げ、人のいない所での慎みを説く条です。続く道歌は、慎みを根、言葉を花にたとえ、内面の慎みがあってこそ言葉も実を結ぶと教えます。現代の組織では、立派な方針や言葉を並べても、裏の行いが伴わなければ信用されません。管理職が発する言葉の重みは、見えない場面での慎みに支えられています。自分の言葉と行いが一致しているか、定期的に振り返るとよいでしょう。

この章句が説くこと

慎み道歌暗闇盗人言葉と行い誠

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