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言志四録 / 言志耋録 第百十条 一誠なれば陰陽の別無し

己之陰事。宜任人之說之。人之陰事。我則不可說。我之所爲。只是一誠。則實無陰陽之別耳。

新字:己之陰事。宜任人之説之。人之陰事。我則不可説。我之所為。只是一誠。則実無陰陽之別耳。

書き下し

己の陰事は、宜しく人の之を説くに任すべし。人の陰事は、我は則ち説くべからず。我の為す所、只だ是れ一誠ならば、則ち実に陰陽の別無きのみ。

現代語訳

自分の隠しごとは、人が言いふらすに任せておけばよい。他人の隠しごとは、自分は口にしてはならない。自分の行うことが、ただひとすじの誠であるならば、実のところ表と裏の区別などないのである。

解説

「陰事」は人に知られていない隠れたことです。一斎は、自分の陰事は人が話すに任せておけと言い、他人の陰事は決して口にするなと言います。自分に厳しく他人に寛い、という態度の非対称がまず示されます。そのうえで結びに、自分の行いがひとすじの誠であれば、もともと表と裏の区別などないのだと言います。人に言われて困る陰事がそもそもないのなら、誰が何を言おうと恐れる必要はありません。前の条で、独りの時を慎む慎独や、自らを欺かないことを説いてきたのと同じ筋にある考えです。噂話が飛び交う職場で、自分がどちらの側に立っているか、また裏表のない仕事ぶりとは何かを考えさせる条です。

この章句が説くこと

誠陰事噂慎独裏表

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