韓非子 / 內儲說下六微第三十一
六微:一曰權借在下,二曰利異外借,三曰託於似類,四曰利害有反,五曰參疑内争,六曰敵國廢置。此六者,主之所察也。
新字:六微:一曰権借在下,二曰利異外借,三曰託於似類,四曰利害有反,五曰参疑内争,六曰敵国廃置。此六者,主之所察也。
書き下し
六微。一に曰く、権借下に在り。二に曰く、利異にして外に借る。三に曰く、似類に託す。四に曰く、利害反する有り。五に曰く、参疑して内に争ふ。六に曰く、敵国廃置す。此の六者は、主の察する所なり。
現代語訳
君主が見抜くべき六つの微かな兆し(六微)がある。一つ目は、権力が臣下に貸し与えられていること。二つ目は、君主と臣下の利害が異なり、臣下が外国の力を借りること。三つ目は、似通った事柄にかこつけて欺くこと。四つ目は、ある事で利を得る者と害を受ける者が反対の立場にあること。五つ目は、権勢の似通った者が並び立って内部で争うこと。六つ目は、敵国がこちらの臣の登用や罷免に手を回すことである。この六つは、君主が察知しなければならないものである。
解説
内儲説下篇の冒頭で、篇全体の目次にあたる六つの項目を掲げています。上篇の「七術」が君主の使うべき手立てだったのに対し、下篇の「六微」は君主が見落としやすい危険の兆しです。権限の貸し出し、臣下の利害の食い違い、紛らわしい事件への便乗、得をする者の見極め、同格の者の対立、敵国の工作と、いずれも表からは見えにくい所で進むのが特徴です。韓非は、君主の地位は外からの攻撃よりも内側の小さなほころびで崩れると考えていました。組織でも、不正や分裂は目立つ事件より先に、権限の偏りや利害のずれという形で静かに現れます。六つの観点は、今でも内部統制の点検表として使えるものです。
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