韓非子 / 外儲説右上第三十四
斷其下翎,則必恃人而食,焉得不馴乎?夫明主畜臣亦然,
新字:断其下翎,則必恃人而食,焉得不馴乎?夫明主畜臣亦然,
書き下し
其の下翎を断てば、則ち必ず人を恃みて食ふ、焉んぞ馴れざるを得んや。夫れ明主の臣を畜ふも亦然り、
現代語訳
(烏の)下の風切羽を切れば、自分では遠くへ飛べず、必ず人に頼って餌をもらうことになる。どうして馴れないことがあろうか。明君が臣下を養うのもまた同じで、
解説
第一の經の結び「明主の臣を牧するや、説は烏を畜ふに在り」に対応する說の前半です。烏を飼い慣らす者は、下の風切羽を切って遠くへ飛べないようにし、人に頼らなければ餌を得られない状態にします。そうすれば烏は自然に人に馴れるというのです。韓非はこれを、君主が臣下を養う方法のたとえとして用い、次の単位で、臣下が君主の禄を頼りとし、君主の与える名誉に服さざるを得ないようにせよと続けます。自分で餌を探せなくなった鳥は、飼い主の手を離れられなくなります。冷酷にも聞こえる比喩ですが、組織の側から見れば、報酬と評価の仕組みが人を動かす土台になっているかを問う話でもあります。
この章句が説くこと
権限畜臣インセンティブ禄君主人事制度
関連する章句
-
『韓非子』愛臣第四此れ明君の其の邪を禁ずる所以なり。是の故に四従を得ず、奇兵を載せず。伝に非ず遽に非ずして、奇兵革を載すれば、罪死して赦さず。此れ明君の不虞に備ふる所以の者なり。
-
『韓非子』八説第四十七明主は愚者の易しとする所を慮り、智者の難しとする所を責めず、故に智慮力勞用ひずして國治まるなり。酸甘鹹淡、口を以て斷ぜずして宰尹に決すれば、則ち厨人君を輕んじて宰尹を重んず。上下清濁、耳を以て斷ぜずして樂正に決すれば、則ち瞽工君を輕んじて樂正を重んず。
-
『韓非子』內儲說下六微第三十一六微。一に曰く、権借下に在り。二に曰く、利異にして外に借る。三に曰く、似類に託す。四に曰く、利害反する有り。五に曰く、参疑して内に争ふ。六に曰く、敵国廃置す。此の六者は、主の察する所なり。
-
『韓非子』八説第四十七人主親ら觀聽せずして、制斷下に在るは、食を國に託する者なり。人をして衣ず食はずして饑ゑず寒えず、又死を惡まざらしむれば、則ち上に事ふるの意無し。意欲君に宰せられざれば、則ち使ふべからざるなり。今生殺の柄大臣に在りて、主令の行はるるを得る者は、未だ嘗て有らざるなり。虎豹必ず其の爪牙を用ひずんば鼷鼠と威を同じくし、萬金の家必ず其の富厚を用ひずんば監門と資を同じくす。有土の君、人を說べども利する能はず、人を惡めども害する能はずして、人の己を畏重せんことを索むるも、得べからざるなり。人臣意を肆にし欲を陳ぶるを俠と曰ひ、人主意を肆にし欲を陳ぶるを乱と曰ふ。人臣上を輕んずるを驕と曰ひ、人主下を輕んずるを暴と曰ふ。行理實を同じくするも、下は以て譽を受け、上は以て非を得。人臣大いに得て、人主大いに亡ふ。
-
『韓非子』孤憤第十一当塗の人、事要を擅にすれば、則ち外内之が為に用ゐらる。
-
『韓非子』八説第四十七治國の是非、術を以て斷ぜずして寵人に決すれば、則ち臣下君を輕んじて寵人を重んず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る