韓非子 / 揚權第八
公子既衆,宗室憂唫。止之之道,數披其木,毋使枝茂。木數披,黨與乃離。掘其根本,木乃不神。填其洶淵,毋使水清。探其懷,奪之威。主上用之,若電若雷。
新字:公子既衆,宗室憂唫。止之之道,数披其木,毋使枝茂。木数披,党与乃離。掘其根本,木乃不神。填其洶淵,毋使水清。探其懐,奪之威。主上用之,若電若雷。
書き下し
公子既に衆ければ、宗室憂唫す。之を止むるの道は、数々其の木を披き、枝をして茂らしむる毋かれ。木数々披かるれば、党与乃ち離る。其の根本を掘れば、木乃ち神ならず。其の洶淵を填め、水をして清からしむる毋かれ。其の懐を探り、之が威を奪へ。主上之を用ゐれば、電の若く雷の若し。
現代語訳
公子が大勢になれば、宗室は憂えてうめく。これを止める方法は、たびたびその木の枝を払い、枝を茂らせないことである。木の枝をたびたび払えば、徒党は離れていく。根本を掘り返せば、木は霊妙な力を失う。渦巻く深い淵を埋め、水を澄ませて底を隠させてはならない。相手の懐を探り、その威勢を奪え。君主がこれを用いるときは、稲妻のように雷のように素早く激しくせよ。
解説
揚権篇の結びで、公子たちが増えて勢力を持てば王室が危うくなるので、たびたび枝を払い、根本を掘り、深い淵を埋めて、その威勢を奪えと説く一節です。枝を払えば徒党は離れ、根を掘れば木は力を失う、という比喩で、有力者の基盤そのものを断つ必要を示しています。最後の、雷や稲妻のように行えという言葉は、処置をするなら迷わず素早く徹底せよという意味です。君主の兄弟や一族が王位をめぐって争うのは、戦国時代に繰り返された悲劇でした。組織の改革でも、中途半端に手をつけて相手に構える時間を与えると、かえって抵抗が強まります。決めたら一気に実行することが求められます。
関連する章句
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『韓非子』揚權第八数々其の木を披き、木枝をして外に拒がしむる無かれ。木枝外に拒げば、将に主の処に逼らんとす。数々其の木を披き、枝をして大に本をして小ならしむる毋かれ。
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『韓非子』揚權第八一家二貴なれば、事乃ち功無し。夫妻政を持てば、子適從する無し。人君爲る者は、數々其の木を披(ひら)き、木枝をして扶踈ならしむる毋(なか)れ。木枝扶踈なれば、將に公閭を塞がんとし、私門將に實ち、公庭將に虚しく、主將に壅圉(ようぎょ)せられんとす。
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『韓非子』揚權第八上は固く内扃を閉ぢ、室より庭を視れば、咫尺已に具はり、皆其の処に之く。賞すべき者を以て賞し、刑すべき者を以て刑し、其の為す所に因りて、各々以て自ら成さしむ。善悪必ず及べば、孰か敢へて信ぜざらん。規矩既に設けらるれば、三隅乃ち列す。主上神ならざれば、下将に因る有らんとす。其の事当たらざれば、下其の常を考ふ。天の若く地の若き、是を累解と謂ふ。地の若く天の若くんば、孰か疏く孰か親しからん。能く天地に象る、是を聖人と謂ふ。其の内を治めんと欲すれば、置きて親しむ勿かれ。其の外を治めんと欲すれば、官に一人を置け。自ら恣にせしめずんば、安んぞ移并するを得ん。大臣の門は、唯だ人多きを恐る。凡そ治の極みは、下得ること能はず。刑名を周合すれば、民乃ち職を守る。此を去りて更に求むるは、是を大惑と謂ふ。猾民愈々衆く、姦邪側に満つ。故に曰く、人を富まして焉に貸す毋かれ、人を貴くして焉に逼らるる毋かれ、専ら一人を信じて其の都国を失ふ毋かれ。腓股より大なれば、以て趣走し難し。主其の神を失へば、虎其の後に随ふ。主上知らざれば、虎将に狗と為らんとす。主蚤く止めざれば、狗益々已む無し。虎其の群を成せば、以て其の母を弑す。主と為りて臣無くんば、奚の国か之れ有らん。主其の法を施せば、大虎将に怯えんとす。主其の刑を施せば、大虎自ら寧んず。法刑苟も信なれば、虎化して人と為り、復た其の真に反る。其の国を為めんと欲すれば、必ず其の聚を伐て。其の聚を伐たずんば、彼将に衆を聚めんとす。其の地を為めんと欲すれば、必ず其の賜を適にせよ。其の賜を適にせずんば、乱人益を求む。彼求めて我予ふるは、仇人に斧を仮すなり。之を仮すべからず、彼将に之を用ゐて以て我を伐たんとす。黄帝言有りて曰く、「上下一日に百戦す」と。下は其の私を匿し、用て其の上を試み、
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