太上感応篇 / 悪行・横に人の財を取る者は、妻子家口を以て之に当つ
又諸橫取人財者,乃計其妻子、家口以當之,漸至死喪。若不死喪,則有水火盜賊、遺亡器物、疾病口舌諸事,以當妄取之值。
新字:又諸横取人財者,乃計其妻子、家口以当之,漸至死喪。若不死喪,則有水火盗賊、遺亡器物、疾病口舌諸事,以当妄取之値。
書き下し
又た諸々の横に人の財を取る者は、乃ち其の妻子・家口を計りて以て之に当て、漸く死喪に至る。若し死喪せずんば、則ち水火・盗賊・遺亡器物・疾病口舌の諸事有りて、以て妄りに取りし値に当つ。
現代語訳
また、不当なやり方で人の財産を取った者は、その妻子や家族の者が数えられて償いに当てられ、しだいに死や喪に至ります。もし死や喪が起こらなければ、水害や火事、盗賊、物の紛失、病気や口論といった事がらが起きて、みだりに取った分の値打ちに当てられるのです。
解説
不当に得た財が、どのように帳尻を合わされるかを説いた段です。取った額に見合うだけのものが、別の形で出ていくという考え方で、水火・盗賊・紛失・病・口論といった、生活の中で実際に起こる災いが並べられています。奪った当人ではなく家族に及ぶという書き方は今日そのままでは受け取れませんが、不当な利得が単独では終わらないという観察には見るべきものがあります。妄取之値という言い方が鋭い。みだりに取ったものには値札が付いていて、いつか必ず払わされる、という比喩です。手に入れたときには得に見えた金が、後から訴訟や修復や信用の回復に消えていく例は、今も珍しくありません。
この章句が説くこと
不正利得代価災い家族財
関連する章句
-
『酔古堂剣掃』集法・新怨を以て舊恩を忘るる勿かれ小嫌を似て至戚を疏んずる毋かれ、新怨を以て舊恩を忘るる勿かれ。
-
『酔古堂剣掃』集靈・骨肉の變に處しては從容たるべし父兄骨肉の變に處しては、宜しく從容たるべく、宜しく激烈なるべからず。 朋友交游の失に遇ひては、宜しく剴切なるべく、宜しく優游なるべからず。
-
『幽夢影』巻下・以て難しと爲すべきも法と爲すべからず九世同居は誠に盛事爲り、然れども止だ當に割股・廬墓の者と一例と作して看るべし。以て難しと爲すべきも、以て法と爲すべからざるなり。
-
『忍経』五世同居張全翁言ふ、潞州に一農夫有り、五世同居す。太宗并州を討ち、其の舍を過ぎ、其の長を召し、之に訊ねて曰く、「若何の道ありて此に至る」と。對へて曰く、「臣他無し、唯だ能く忍ぶのみ」と。太宗以て然りと爲す。
-
孟子・盡心章句上孟子曰く、「君子に三樂有り。而して天下に王たるは、與り存せず。父母俱に存し、兄弟故無きは、一の樂しみなり。仰いで天に愧ぢず、俯して人に怍ぢざるは、二の樂しみなり。天下の英才を得て、之を教育するは、三の樂しみなり。君子に三樂有り。而して天下に王たるは、與り存せず。」
-
『忍経』九世同居張公藝は九世同居す。唐の高宗其の家に臨幸し、本末を問ふ。「忍」の字を書きて以て對ふ。天子流涕し、遂に縑帛を賜ふ。