太上感応篇 / 悪行・他の栄貴を見て、他の流貶を願ふ
見他榮貴,願他流貶;見他富有,願他破散;見他色美,起心私之;負他貨財,願他身死;
新字:見他栄貴,願他流貶;見他富有,願他破散;見他色美,起心私之;負他貨財,願他身死;
書き下し
他の栄貴なるを見ては、他の流貶せられんことを願ふ。他の富有なるを見ては、他の破散せんことを願ふ。他の色の美しきを見ては、心を起して之を私す。他の貨財を負ひては、他の身の死せんことを願ふ。
現代語訳
人が栄えて高い位にあるのを見ると、その人が左遷され落とされればよいと願います。人が富んでいるのを見ると、その財産が散り失せればよいと願います。人の容姿が美しいのを見ると、よこしまな心を起こしてわがものにしようとします。人から借金をすると、その相手が死んでしまえばよいと願います。
解説
見他という書き出しが四つ続く、この書でも異色の段です。並んでいるのはすべて、人を見たときに心の中に起きることであって、まだ行いにはなっていません。それでも罪として数えています。最後の一句が分かりやすい。人から金を借りると、その貸し主が死ねばいいと願ってしまう。返す苦しさが、相手そのものを消したいという願いに化けるわけです。前の三つも同じ仕組みで、人の栄達や富や美しさが、自分の不足として刺さった瞬間に、相手が落ちることを願う心が動きます。誰も傷つけていないから無害だ、とはこの書は考えません。願った心のほうを見ています。
この章句が説くこと
嫉妬心願い負債貪欲
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