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回天詩史 / 尊神尚武の志・尊神尚武の政教と皇道

垂頭就戮之不遑。而隱忍姑息。遂養成滔天之禍。豈非千古一大遺憾哉。所恃者。神皇在天之靈。赫赫照臨。敬神之俗未盡喪。奮武之風未必沮。仁厚勇猛忠義孝烈之士。往往出於其間。天地之正氣亡於彼。存於此。廢於前。興於後。以維持神州之紀綱。何也者。夏之尙忠。殷之尙質。周之尙文。皆至其末世而不可不變者。苟變之也。不衰則亡矣。神州尊神尙武之政。萬世不可變者也。極天不可易者也。今皇道雖衰。天祖之訓萬世罔墜。民之仰勢廟與天日無間。名神大祠之在各國者。威靈如在。上自朝廷大嘗諸祭。下至於閭巷所謂神事祭禮。上古之風猶或可徵。天皇卽天祖之胤。臣民皆群神之裔。故尊神之義明。則皇室自尊。異端自衰。忠孝之敎立。而神皇之道興矣。抑古者尙武之俗。冠絶宇內亡論也。而釋氏柔和忍辱之敎。或折其鋒。和歌者流。浮靡淫惰之習。又從而移其氣。公卿百官。手不知兵。尙武之俗。一變移於武家。然猶亡於室而存於堂也。故胡元之窺我也。先斬其使。

新字:垂頭就戮之不遑。而隠忍姑息。遂養成滔天之禍。豈非千古一大遺憾哉。所恃者。神皇在天之霊。赫赫照臨。敬神之俗未尽喪。奮武之風未必沮。仁厚勇猛忠義孝烈之士。往往出於其間。天地之正気亡於彼。存於此。廃於前。興於後。以維持神州之紀綱。何也者。夏之尚忠。殷之尚質。周之尚文。皆至其末世而不可不変者。苟変之也。不衰則亡矣。神州尊神尚武之政。万世不可変者也。極天不可易者也。今皇道雖衰。天祖之訓万世罔墜。民之仰勢廟与天日無間。名神大祠之在各国者。威霊如在。上自朝廷大嘗諸祭。下至於閭巷所謂神事祭礼。上古之風猶或可徴。天皇即天祖之胤。臣民皆群神之裔。故尊神之義明。則皇室自尊。異端自衰。忠孝之教立。而神皇之道興矣。抑古者尚武之俗。冠絶宇内亡論也。而釈氏柔和忍辱之教。或折其鋒。和歌者流。浮靡淫惰之習。又従而移其気。公卿百官。手不知兵。尚武之俗。一変移於武家。然猶亡於室而存於堂也。故胡元之窺我也。先斬其使。

書き下し

頭を垂れて戮に就くに遑あらず。而るに隠忍姑息して、遂に滔天の禍を養成す。豈に千古の一大遺憾に非ずや。恃む所は、神皇在天の霊、赫赫として照臨し、敬神の俗未だ尽くは喪はれず、奮武の風未だ必ずしも沮まれず、仁厚勇猛忠義孝烈の士、往々にして其の間に出づ。天地の正気、彼に亡びて此に存し、前に廃れて後に興り、以て神州の紀綱を維持するなり。何となれば、夏の忠を尚び、殷の質を尚び、周の文を尚ぶは、皆其の末世に至りて変ぜざるべからず。苟も之を変ずるや、衰へずんば則ち亡ぶ。神州の尊神尚武の政は、万世変ずべからざる者なり。極天易ふべからざる者なり。今、皇道衰ふと雖も、天祖の訓は万世墜つる罔し。民の勢廟を仰ぐこと、天日と間無し。名神大祠の各国に在る者、威霊在るが如し。上は朝廷の大嘗の諸祭より、下は閭巷のいはゆる神事祭礼に至るまで、上古の風、猶ほ或いは徴すべし。天皇は即ち天祖の胤、臣民は皆群神の裔なり。故に尊神の義明らかなれば、則ち皇室自ら尊く、異端自ら衰へ、忠孝の教立ちて、神皇の道興る。抑も古者尚武の俗、宇内に冠絶すること論ずる亡し。而るに釈氏柔和忍辱の教は、或いは其の鋒を折り、和歌者流の浮靡淫惰の習は、又従ひて其の気を移す。公卿百官、手に兵を知らず。尚武の俗は、一たび武家に移る。然れども猶ほ室に亡びて堂に存するなり。故に胡元の我を窺ふや、先づ其の使を斬り、以て明らかに彼と絶つを示し、諸国に戒めて兵備を厳にし、遂に十万の衆を西海に殲す。朝鮮の無礼なるや、航海遠征して、八道驚き潰え、余威明国を震はす。洋夷の禍心を蔵するや、其の船を火き、其の人を戮して、醜虜胆を破る。

現代語訳

首を垂れて処刑を受ける間もなかったでしょう。ところが、がまんして一時しのぎをし、ついに天に満ちるほどの禍を養い育ててしまいました。千古の大きな遺憾ではありませんか。頼りとするのは、神皇の天にある霊が赫々と照らし臨み、神を敬う習俗がまだ全部は失われておらず、武を奮う風がまだ必ずしも阻まれておらず、仁厚勇猛、忠義孝烈の士が、しばしばその間に現れることです。天地の正気は、あちらでは滅びてもこちらでは存し、以前に廃れても後に興って、日本の紀綱を維持しています。なぜなら、夏が忠を尚び、殷が質を尚び、周が文を尚んだことは、いずれも末世に至ると変えなければならないものでした。もし変えれば、衰えなければ滅びます。日本の尊神尚武の政は、万世にわたって変えるべきでないものであり、天が極まるまで変えられないものです。いま皇道は衰えていますが、天祖の訓えは万世に墜ちることがありません。民が伊勢の廟を仰ぐことは、天日を仰ぐのと変わりません。名神・大祠で各国にあるものは、威霊が今にあるかのようです。上は朝廷の大嘗祭などの諸祭から、下は村里のいわゆる神事祭礼に至るまで、上古の風はなお確かめることができます。天皇は天祖の子孫で、臣民は皆、群神の子孫です。したがって尊神の義が明らかであれば、皇室はおのずから尊く、異端はおのずから衰え、忠孝の教えが立って、神皇の道が興るのです。そもそも古代の尚武の習俗が、世界で抜きんでていたことは論ずるまでもありません。ところが釈氏(仏教)の柔和・忍辱の教えは、その鋒を折り、和歌の流派の浮ついて華美で淫らな習いは、従ってその気を変えました。公卿・百官は、手に兵を取ることを知りません。尚武の習俗は、いったん武家に移りました。それでもなお、室では亡んでも堂には存しているのです。だから元(モンゴル)がわが国を窺ったとき、まずその使者を斬って、明らかに彼と絶交することを示し、諸国に戒めて兵備を厳しくし、ついに十万の大軍を西の海で全滅させました。朝鮮が無礼であったとき、航海して遠征し、八道は驚き潰え、その余威は明国を震わせました。西洋の夷が禍心を蔵したとき、その船を焼き、その人を殺して、醜い夷は肝を砕かれました。

解説

この章句は、日本の根本を尊神尚武とし、それが万世に変えるべきでないと断言する、著者の中心主張です。原文は神道的国体論と、武力による対外強硬論を含み、当時の思想として読みます。ここでは、戦いを称揚する解釈を避け、実践に置き換えます。着目点は、時代の変化に合わせて変えるべきものと、変えてはならない核を分けて考える視点です。夏、殷、周の例も、末世には変革が必要でした。管理職も、組織の変えるべき部分と守るべき核を見極め、変革の際にも軸を失わない判断が大切です。

この章句が説くこと

回天詩史藤田東湖尊神尚武夏殷周不易流行組織の核

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