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重職心得箇条 / 第十五条

風儀は上より起こるもの也。人を猜疑し蔭事を発(あば)き、たとへば誰に表向き斯様に申せ共、内心は斯様なりなどと、掘り出す習いは甚だあしし。上(かみ)に此の風あらば、下(しも)必ず其の習いとなりて、人心に癖を持つ。上下とも表裏両般の心ありて治めにくし。何分此の六(むつ)かしみを去り、其の事の顕(あらわ)れたるままに公平の計(はから)ひにし、其の風へ挽回したきもの也。

書き下し

風儀は上より起こるもの也。人を猜疑し蔭事を発(あば)き、たとへば誰に表向き斯様に申せ共、内心は斯様なりなどと、掘り出す習いは甚だあしし。上(かみ)に此の風あらば、下(しも)必ず其の習いとなりて、人心に癖を持つ。上下とも表裏両般の心ありて治めにくし。何分此の六(むつ)かしみを去り、其の事の顕(あらわ)れたるままに公平の計(はから)ひにし、其の風へ挽回したきもの也。

現代語訳

気風は上から起こるものである。人を疑い、陰の事情を暴き、たとえば「誰それは表向きこう言っているが、内心はこうだ」などと掘り出す習慣は、はなはだよくない。上にこの風があれば、下は必ずそれを習いとし、人の心に癖がつく。上も下も表と裏の二つの心を持つようになり、治めにくくなる。とにかくこの厄介さを取り除き、事は現れたとおりに公平にはからい、その気風へ引き戻したいものである。

解説

気風は上から起こる、と一斎は言います。人を疑い、陰の事情を暴き、「誰それは表向きこう言うが内心はこうだ」と掘り出す習慣は、はなはだよくないとします。上にその風があれば下は必ず真似をし、上下とも表と裏の二つの心を持つようになって治めにくくなるからです。そこで、事は現れたとおりに公平にはからい、その気風へ引き戻したいと述べます。職場の空気を決めるのは制度より幹部の日々の態度で、疑心暗鬼は気づかぬうちに伝染します。

この章句が説くこと

風儀上から猜疑表裏公平重職心得箇条

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