重職心得箇条 / 第十四条
政事と云へば、拵へ事繕ひ事をする様にのみなるなり。何事も自然の顕れたる儘(まま)にて参るを実政と云ふべし。役人の仕組む事皆虚政也。老臣など此の風を始むべからず。大抵常事は成るべき丈は簡易にすべし。手数を省く事肝要なり。
書き下し
政事と云へば、拵へ事繕ひ事をする様にのみなるなり。何事も自然の顕れたる儘(まま)にて参るを実政と云ふべし。役人の仕組む事皆虚政也。老臣など此の風を始むべからず。大抵常事は成るべき丈は簡易にすべし。手数を省く事肝要なり。
現代語訳
政治というと、こしらえ事や繕い事ばかりするようになってしまう。何事も自然に現れたままで運ぶのを「実政」というべきである。役人がこしらえる仕組みは、みな「虚政」である。老臣などがこの風潮を始めてはならない。おおよそ日常の事は、できるかぎり簡易にすべきだ。手数を省くことが肝要である。
解説
一斎は、政事というとこしらえ事や繕い事ばかりになりがちだと嘆き、何事も自然に現れたままで運ぶことを「実政」と呼びます。役人が仕組むものはみな「虚政」であり、老臣がこの風を始めてはならず、日常の事はできるだけ簡易にして手数を省くことが肝要だとします。社内の承認手続きや報告書が増え、本来の仕事から離れていく状況は、現代の組織でもよく見られます。しくみが本当に実を生んでいるのか、それとも形を整えるための仕事なのかを、幹部自らが問い直す必要があります。簡易にすることは手を抜くこととは違います。
この章句が説くこと
実政虚政簡易手数形式主義重職心得箇条
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