重職心得箇条 / 第十条
政事は大小軽重の弁を失ふべからず。緩急先後の序を誤るべからず。徐緩(じょかん)にても失し、火急にても過つ也。着眼を高くし、惣体を見廻し、両三年四五年乃至十年の内何々と、意中に成算を立て、手順を遂(お)いて施行すべし。
書き下し
政事は大小軽重の弁を失ふべからず。緩急先後の序を誤るべからず。徐緩(じょかん)にても失し、火急にても過つ也。着眼を高くし、惣体を見廻し、両三年四五年乃至十年の内何々と、意中に成算を立て、手順を遂(お)いて施行すべし。
現代語訳
政治においては、大小・軽重の区別を見失ってはならない。緩急・先後の順序を誤ってはならない。ゆっくりすぎても失敗し、急ぎすぎても過つ。着眼を高く置き、全体を見わたし、二三年、四五年、さらには十年のうちにこれこれと、心のうちに成算を立て、手順を追って実行すべきである。
解説
政事では、大小・軽重の区別を見失わず、緩急・先後の順序を誤らないことが大切だと一斎は述べます。ゆっくりすぎても失敗し、急ぎすぎても過つ、という言い方が実際的です。そのうえで、着眼を高くして全体を見わたし、二三年、四五年、さらには十年の内にこれこれと心に成算を立て、手順を追って実行せよと続けます。四半期の数字に追われがちな現代の経営でも、十年先を見る目と、いまやる順序の見きわめを両方持てているかが、幹部の力量を分けます。この条は、判断の速さではなく順序の見きわめを重んじています。
この章句が説くこと
軽重緩急先後成算長期視点重職心得箇条
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