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十八史略 / 『十八史略』元・太祖 耶律楚材・角端が告げた殺さぬ道

元太祖至東印度駐鐵門關有一獸鹿形馬尾綠色而一角能作人言謂侍衛者曰汝主宜早還太祖以問耶律楚材曰此獸名角端能言四方語好生而惡殺此天降符以告陛下願承天心宥此數國人命太祖即日班師

新字:元太祖至東印度駐鉄門関有一獣鹿形馬尾緑色而一角能作人言謂侍衛者曰汝主宜早還太祖以問耶律楚材曰此獣名角端能言四方語好生而悪殺此天降符以告陛下願承天心宥此数国人命太祖即日班師

書き下し

元の太祖、東印度に至り、鉄門関に駐まる。一獣有り、鹿の形、馬の尾、緑色にして一角あり。能く人言を作し、侍衛の者に謂いて曰く、汝の主、宜しく早く還るべし、と。太祖、以て耶律楚材に問う。楚材曰く、此の獣、名は角端。能く四方の語を言い、生を好みて殺を悪む。此れ天の符を降し、以て陛下に告ぐるなり。願わくは天心を承け、此の数国の人命を宥されよ、と。太祖、即日師を班す。

現代語訳

元の太祖は東印度に至り、鉄門関に陣を置きました。そこに一頭の獣が現れました。姿は鹿のようで、尾は馬、色は緑で、一本の角があります。この獣は人の言葉を話し、側近の兵に向かって「お前の主君は、早く帰るのがよい」と言いました。太祖がこのことを耶律楚材に尋ねると、楚材は答えました。「この獣は角端といいます。あらゆる土地の言葉を話し、生を好み殺を憎みます。これは天がしるしを降して、陛下にお告げになったものです。どうか天の心に従い、これらの国々の人々の命をお許しください」。太祖はその日のうちに軍を引き返しました。

解説

モンゴルの太祖、チンギス・ハンが東印度の鉄門関まで進んだとき、一本の角を持つ獣が現れて、人の言葉で「お前の主君は早く帰るべきだ」と告げたという話です。側近の耶律楚材は、これは角端という獣で、生を好んで殺を憎み、天が陛下に告げるために降したしるしだと説明し、太祖はその日のうちに軍を引きました。楚材は契丹の皇族の血を引く人物で、殺戮を止める進言を、相手が信じる天命の言葉で返しました。説得で大事なのは正論の強さより、相手の価値観に届く言葉を選ぶ翻訳力です。伝え方を相手の枠組みに置き換えられているか、問い直したくなります。
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この章句が説くこと

耶律楚材角端太祖好生悪殺天命説得

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