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十八史略 / 『十八史略』五代・後唐明宗・夜ごとに天へ祈った明宗

唐主性不猜忌與物無競登極之年已踰六十每夕於宮中焚香祝天曰某胡人因亂為眾所推願天早生聖人為生民主在位八年改元者二曰天成長興內無聲色外無遊畋不任宦官廢內藏庫賞廉吏治贓蠹雖不知書所行暗合於道年穀屢豐兵革罕用校於五代粗為小康

新字:唐主性不猜忌与物無競登極之年已踰六十毎夕於宮中焚香祝天曰某胡人因乱為衆所推願天早生聖人為生民主在位八年改元者二曰天成長興内無声色外無遊畋不任宦官廃内蔵庫賞廉吏治贓蠹雖不知書所行暗合於道年穀屡豊兵革罕用校於五代粗為小康

書き下し

唐主、性は猜忌せず、物と競う無し。極に登るの年、已に六十を踰ゆ。毎夕宮中に於いて香を焚き天に祝して曰く、某は胡人、乱に因りて衆の推す所と為る。願わくは天、早く聖人を生じ、生民の主と為さしめよ、と。位に在ること八年、元を改むる者二、曰く天成、長興。内に声色無く、外に遊畋無し。宦官に任ぜず、内蔵庫を廃し、廉吏を賞し、贓蠹を治む。書を知らずと雖も、行う所は暗に道に合す。年穀屢しば豊かに、兵革罕に用う。五代に校ぶるに、粗ぼ小康と為す。

現代語訳

後唐の皇帝は、生まれつき人を疑わず、他人と争うこともありませんでした。即位した年にはすでに六十歳を過ぎていました。毎晩、宮中で香をたき、天に祈って言いました。「私は胡人の出身で、乱世のなりゆきで人々に推されただけの者です。どうか天が早く聖人を世に生み、民の主としてくださいますように」。在位は八年、年号は天成と長興の二つを用いました。内には女色や音楽の楽しみがなく、外には狩りの遊びもありませんでした。宦官に政治を任せず、宮中の蔵を廃し、清廉な役人を賞し、汚職や不正を取り締まりました。書物には通じていませんでしたが、そのおこないは自然と道にかなっていました。穀物は毎年のように豊かに実り、戦はほとんど起こらず、五代のなかではまずまず安定した世でした。

解説

後唐の明宗は、混乱の続く五代にあって、世を落ち着かせた数少ない君主として語られます。胡人の出で書物には通じていませんでしたが、毎夜、自分より優れた聖人が現れて民を治めるようにと天に祈りました。宦官に権限を渡さず、清廉な役人を評価し、不正を取り締まったことが、たびたびの豊作と平穏につながったと本文は見ています。学歴や知識の量より、自分の限界を知る謙虚さと、人事の基本を外さないことが組織を支える。トップに求められるものを考えさせる一節です。
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この章句が説くこと

明宗後唐小康謙虚宦官廉吏

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