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文武訓 / 文訓上之末

一人は只、わが身をかへりみて、わが身のさかしおろかなると、才あるとつたなきとのほどを知りて、つねに人にへりくだり、わが身にほこるべからず。才智ありてもなくしても、わが身にほこりたかぶり、人をこのんで見くだし、又そしるは罪ふかし。いとおろかなりといふべし。

書き下し

一人は只、わが身をかへりみて、わが身のさかしおろかなると、才あるとつたなきとのほどを知りて、つねに人にへりくだり、わが身にほこるべからず。才智ありてもなくしても、わが身にほこりたかぶり、人をこのんで見くだし、又そしるは罪ふかし。いとおろかなりといふべし。

現代語訳

人はただ、わが身を顧みて、自分の賢さ愚かさ、才のあるなしの程度を知って、いつも人にへりくだり、わが身を誇ってはいけません。才知があってもなくても、わが身を誇り高ぶり、人を好んで見下し、またそしるのは罪深いことです。たいへん愚かなことというべきです。

解説

自分の賢愚や才の程度を知ってへりくだり、誇り高ぶって人を見下したりそしったりするなと戒めています。才知があってもなくても誇るのは愚かだという言い方に、才の有無より心の持ち方を重んじる益軒の考えが表れています。文訓はたびたび「わが身を知ること」の難しさに立ち返ります。今の職場でも、能力のある人ほど謙虚さを失うと周囲の協力を得られず、力を生かせません。自分を客観的に見る習慣が、人間関係と成長の土台になります。

この章句が説くこと

謙虚自省才傲慢人間関係

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