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十八史略 / 『十八史略』東晋・謝安・捷書を前に碁を打つ謝安

晉太保謝安卒安文雅過王導有德量方秦衆至朝野震動安夷然圍碁賭墅捷書至安方與客碁覽畢寘坐側無喜色碁罷客問之徐曰小兒輩已遂破賊客去安入戶喜甚不覺屐齒折其矯情鎮物如此

新字:晋太保謝安卒安文雅過王導有徳量方秦衆至朝野震動安夷然囲碁賭墅捷書至安方与客碁覧畢寘坐側無喜色碁罷客問之徐曰小児輩已遂破賊客去安入戸喜甚不覚屐歯折其矯情鎮物如此

書き下し

晋の太保謝安、卒す。安、文雅にして、徳量は王導に過ぐ。秦の衆の至るに方り、朝野震動す。安、夷然として碁を囲み墅を賭す。捷書至る。安、方に客と碁す。覧畢りて坐側に寘き、喜色無し。碁罷みて、客、之を問う。徐ろに曰く、小児輩、已に遂に賊を破れり、と。客去り、安、戸に入りて喜ぶこと甚だしく、屐歯の折るるを覚えず。其の情を矯めて物を鎮むること、此の如し。

現代語訳

晋の太保の謝安が亡くなりました。安は教養があり上品で、人徳と度量は王導を上回るほどでした。前秦の大軍が来襲したとき、朝廷も民間も震え上がりましたが、安は平然として碁を打ち、別荘を賭けて勝負をしました。勝利の知らせが届いたときも、安は客と碁を打っている最中で、文書を読み終えると傍らに置き、喜ぶ様子を見せませんでした。碁が終わって客が尋ねると、静かに「若い者たちが賊を破ったそうです」と言いました。客が帰り、安は部屋に入ると大喜びして、履物の歯が折れたことにも気づきませんでした。感情を抑えて周囲を安心させることは、このようなものでした。

解説

淝水の戦いの前後に、謝安が示した落ち着きの話です。大軍が迫って人々が動揺するときに、トップが慌てれば組織全体が浮き足立ちます。安は碁を打つことで、あえて平静を見せました。勝報にも顔色を変えず、客が去ってから初めて喜びをあらわにし、履物の歯が折れても気づかなかったという落差が、人間味と、抑えていた緊張の大きさを教えます。リーダーの感情の出し方は、周囲の動揺を左右します。見せるべき平静と、本当の気持ちの置き場所を考えさせられる一節です。
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この章句が説くこと

謝安碁捷書矯情鎮物屐歯度量

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