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十八史略 / 『十八史略』漢・高祖・季布を赦し、丁公を斬る

初季布為項羽將數窘帝羽滅帝購求布敢匿者罪三族布乃髠鉗為奴自賣於魯朱家朱家心知其布也之洛陽見滕公曰季布何罪臣各為其主耳以布之賢漢求之急不北走胡南走越耳此棄壯士資敵國也滕公言於上乃赦布召拜郎中丁公為項羽將嘗逐窘帝彭城西短兵接帝急顧曰兩賢豈相厄哉丁公乃還至是謁見帝以徇軍中曰丁公為臣不忠使項王失天下遂斬之曰使後為人臣無效丁公也

新字:初季布為項羽将数窘帝羽滅帝購求布敢匿者罪三族布乃髠鉗為奴自売於魯朱家朱家心知其布也之洛陽見滕公曰季布何罪臣各為其主耳以布之賢漢求之急不北走胡南走越耳此棄壮士資敵国也滕公言於上乃赦布召拝郎中丁公為項羽将嘗逐窘帝彭城西短兵接帝急顧曰両賢豈相厄哉丁公乃還至是謁見帝以徇軍中曰丁公為臣不忠使項王失天下遂斬之曰使後為人臣無効丁公也

書き下し

初め、季布は項羽の将と為り、数しば帝を窘しむ。羽滅ぶや、帝、布を購い求め、敢えて匿う者は、三族に罪す。布乃ち髠鉗して奴と為り、自ら魯の朱家に売る。朱家、心に其の布なるを知り、洛陽に之きて滕公に見えて曰く、季布何の罪ありや、臣は各おの其の主の為にするのみ。布の賢を以て、漢の之を求むること急なれば、北のかた胡に走らずんば、南のかた越に走るのみ。此れ壮士を棄てて敵国を資くるなり、と。滕公、上に言い、乃ち布を赦し、召して郎中に拝す。丁公は項羽の将と為り、嘗て逐いて帝を彭城の西に窘しむ。短兵接し、帝急にして、顧みて曰く、両賢豈に相厄しめんや、と。丁公乃ち還る。是に至りて謁見す。帝、以て軍中に徇えて曰く、丁公は臣と為りて不忠、項王をして天下を失わしめし者なり、と。遂に之を斬る。曰く、後の人臣為る者をして、丁公に効うこと無からしめん、と。

現代語訳

もともと季布は項羽の将として、たびたび高祖を苦しめました。項羽が滅びると、高祖は季布に懸賞をかけて捜させ、かくまう者は三族を罪に問うとしました。季布は髪を剃り首枷をはめて奴隷に身をやつし、自分を魯の朱家に売りました。朱家は心の中でそれが季布だと知っており、洛陽に行って滕公に会って言いました。「季布にどんな罪がありましょう。臣下はそれぞれ自分の主君のために働いただけです。季布ほどの賢者を、漢が急いで追い詰めれば、北の胡か南の越に逃げるだけです。これは壮士を捨てて敵国を助けることになります」。滕公がこれを高祖に伝え、高祖は季布を赦し、召して郎中に任じました。一方、丁公は項羽の将として、かつて彭城の西で高祖を追い詰めたことがありました。短い武器で斬り合いになり、高祖は危うくなって振り返り、「賢い者どうしが、なぜ互いに苦しめ合うのか」と言いました。丁公はそこで兵を引きました。のちに丁公が高祖に拝謁すると、高祖は軍中に触れ回って言いました。「丁公は臣下でありながら不忠で、項王に天下を失わせた者だ」。そして丁公を斬り、「後の世の臣下は、丁公を見習ってはならない」と言いました。

解説

同じ項羽の部下でありながら、季布は赦されて取り立てられ、丁公は斬られました。季布は主君のために全力で戦った敵であり、丁公は主君を裏切って見逃した人です。高祖は、敵の忠義は評価して取り込み、自分への恩があっても主君に不忠な者は用いませんでした。恩を売った相手を信頼できるわけではなく、主君に忠実かどうかこそが人の価値を測る物差しだという判断です。人を登用するとき、自分への好意ではなく、その人が背負う責任への姿勢を見る目が問われます。
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この章句が説くこと

季布丁公朱家滕公忠義敵を用いる

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