人物志 / 釋爭
及其終極,乃轉禍為福,屈讎而為友;使怨讎不延於後嗣,而美名宣於無窮;君子之道,豈不裕乎!且
新字:及其終極,乃転禍為福,屈讎而為友;使怨讎不延於後嗣,而美名宣於無窮;君子之道,豈不裕乎!且
書き下し
其の終極に及びては、乃ち禍を転じて福と為し、讎を屈して友と為す。怨讎をして後嗣に延ばさず、而して美名無窮に宣べしむ。君子の道、豈に裕かならずや。且つ
現代語訳
(君子は屈することが伸びることにつながると知り、へりくだり譲ることが敵に勝つことになると知っている。そうして)最後に行き着くところでは、禍を転じて福とし、仇を屈服させて友とする。怨みや仇を子孫にまで及ぼさず、よい名声を限りなく広める。君子の道は、なんとゆとりのあることではないか。そのうえ、
解説
「釈争」で、譲ることの最終的な果実を述べる一節である。直前で劉劭は、君子は屈することが伸びることになると知るので恥辱を受けても拒まず、へりくだり譲ることが敵に勝つことになると知るので相手の下に立って疑わない、と述べている。その結果、禍は福に転じ、仇は友に変わり、怨みは子孫にまで残らず、名声は後世まで広がる。争いに勝っても怨みは残り、それが次の世代の争いの種になるが、譲って和解すれば、その連鎖を断ち切ることができる。前段の藺相如と廉頗の刎頸の交わりはまさにその実例である。組織の中の対立も、勝ち負けで決着をつければ禍根が残る。長い目で見て、関係を友に変える道を選べるかどうかが、器の大きさである。
関連する章句
-
人物志・釋爭是を以て君子は挙ぐるに敢へて儀準を越えず、志すに敢へて軌等を凌がず。内は己を勤めて以て自ら済し、外は謙譲して以て敬懼す。是を以て怨難身に在らずして、栄福長久に通ずるなり。彼の小人は則ち然らず、功を矜り能を伐り、好んで以て人を陵ぐ。是を以て
-
人物志・釋爭此に由りて之を論ずれば、則ち
-
人物志・釋爭君子誠に能く争途の名険を睹て、独り玄路に高く乗れば、則ち光暉煥として日に新たに、徳声古人に倫しからん。
-
人物志・釋爭雋を争ひて未だ別れざれば、則ち力を用ふる者憊ると為る。是の故に、藺相如は車を迴らすを以て勝ちを廉頗に決し、寇恂は闘はざるを以て賢を賈復に取る。物勢の反は、乃ち君子の所謂道なり。是の故に、
-
人物志・釋爭是の故に、轡を並べて先を争ひて相奪ふこと能はず、両つながら頓き倶に折れて後なる者の趨く所と為る。是に由りて之を論ずれば、争譲の途、其の別明らかなり。然るに勝を好むの人は、猶ほ然らずと謂ひ、前に在るを以て速鋭と為し、後に処るを以て留滞と為し、衆に下るを以て卑屈と為し、等を躡むを以て異傑と為し、敵に譲るを以て迴辱と為し、上を陵ぐを以て高厲と為す。是の故に、抗奮して遂に往き、自ら反ること能はざるなり。夫れ抗を以て賢に遇へば必ず遜下せられ、抗を以て暴に遇へば必ず敵難を搆ふ。敵難既に搆ふれば、則ち是非の理必ず溷りて明らかにし難し。溷りて明らかにし難ければ則ち其の自ら毀るとは何を以て異ならんや。且つ人の己を毀るは、皆怨憾に発して、変は舋に生ずるなり。必ず事に依託して端末を飾り成す。其の聴く者に於けるや、尽くは信ぜずと雖も、猶ほ半ばは以て然りと為すなり。己の校報も、亦た又之の如し。終に其の帰する所は、亦た各々半信の遠近に著はるる有るなり。然らば則ち、
-
人物志・釋爭君子は屈するの以て伸と為す可きを知る、故に辱を含みて辞せず。卑讓の以て敵に勝つ可きを知る、故に之に下りて疑わず。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る