人物志 / 八觀
多易似能而無效,進銳似精而去速,訶者似察而事煩,訐施似惠而無成,
新字:多易似能而無効,進鋭似精而去速,訶者似察而事煩,訐施似恵而無成,
書き下し
多易は能に似て効無く、進鋭は精に似て去ること速やかに、訶者は察に似て事煩はしく、訐施は恵に似て成る無し、
現代語訳
何でも容易だと言う者は、有能に見えて成果がない。進むのが鋭い者は、熱心に見えて退くのも速い。人を叱りとがめる者は、よく見抜いているように見えて、事をかえって煩雑にする。見せびらかすように施す者は、恵み深く見えて何も成し遂げない。
解説
八観の第四「所由」で、似て非なるものの例を続けて挙げる部分である。何でも簡単だと言う人は有能そうに見えるが成果が伴わず、勢いよく飛びつく人は熱心に見えて手を引くのも早い。人の粗を叱る人は目が利くように見えるが仕事を煩雑にするだけで、施しを見せびらかす人は恵み深く見えて実を結ばない。いずれも、外から見える長所が本物の徳や才に似ているだけで、根が違うというのが劉劭の診断である。『孟子』尽心上にも「其の進むこと鋭き者は、其の退くこと速やかなり」とあり、古くからの人間観察が背景にある。新しい企画に真っ先に手を挙げる人や、他人の欠点を指摘するのが得意な人を、それだけで高く評価していないか、省みるきっかけになる。
関連する章句
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人物志・八觀是の故に、軽諾は烈に似て信寡し、
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人物志・八觀故に言を聴き貌を信ずれば、或いは其の真を失ひ、情を詭り反を御すれば、或いは其の賢を失ふ。賢否の察は、実に依る所に在り。是の故に、其の依る所を観て、似類の質、知るべきなり。何をか其の愛敬を観て、以て通塞を知ると謂ふ。
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人物志・八觀夫れ似たるを察して非なるを明らかにし、情の反を御するは、訟を理むるに似たる有り、其の実は別ち難きなり。
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人物志・八觀此れ是に似て非なる者なり。亦た非に似て是なる者有り。大権は姦に似て功有り、
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人物志・八觀偏と依とは、志同じくして質違う、所謂似て是にして非なる者なり。
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『長短経』知人〔人物志に曰く「軽諾は烈に似て信寡なく、多易は能に似て効無く、進鋭は精に似て去ること速やかに、訶する者は察に似て事煩わしく、施しを許すは恵に似て終わり無く、面従は忠に似て退けば違う。此れ是に似て非なる者なり。亦た非に似て是なる者有り。大権は姦に似て功有り、大智は愚に似て内は明らかに、博愛は虚に似て実は厚く、正言は訐に似て情は忠なり。天下の至精に非ずんば、孰か能く其の実を得んや」と。〕
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