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政談 / 諸役人に器量を選ふ事

人の氣質樣々なる故才智の筋も樣々となるによりて、人に得手不得手あること其の品々樣々なり、餘りに人々樣々に變はることなれは、其の今日其の人に取扱はすることの上にて、うとけすき合はせに合ふたる才はなきものなる故、少々の有餘不足ありて、少々の仕落もなくて叶はさることなり、少しの仕落を厭ふて大なる功を立て得されは咎はなけれとも功なし、功なくんは何の益かあるへき、大なる所に功あらは少しの仕落は少しのことなり、苦しからさることなり、

新字:人の気質様々なる故才智の筋も様々となるによりて、人に得手不得手あること其の品々様々なり、余りに人々様々に変はることなれは、其の今日其の人に取扱はすることの上にて、うとけすき合はせに合ふたる才はなきものなる故、少々の有余不足ありて、少々の仕落もなくて叶はさることなり、少しの仕落を厭ふて大なる功を立て得されは咎はなけれとも功なし、功なくんは何の益かあるへき、大なる所に功あらは少しの仕落は少しのことなり、苦しからさることなり、

書き下し

人の気質様々なる故才智の筋も様々となるによりて、人に得手不得手あること其の品々様々なり、余りに人々様々に変はることなれは、其の今日其の人に取扱はすることの上にて、うとけすき合はせに合ふたる才はなきものなる故、少々の有余不足ありて、少々の仕落もなくて叶はさることなり、少しの仕落を厭ふて大なる功を立て得されは咎はなけれとも功なし、功なくんは何の益かあるへき、大なる所に功あらは少しの仕落は少しのことなり、苦しからさることなり、

現代語訳

人の気質はさまざまであるから、才智の筋もさまざまになり、人には得手不得手があって、その品々はさまざまである。あまりに人それぞれに異なるのだから、今日その人に取り扱わせる事柄に、ぴったり寸法の合った才というものはないので、少々の余りや不足があって、少々のしくじりもなくては済まないものである。少しのしくじりを嫌って大きな功を立てられなければ、咎めはなくても功はない。功がなければ何の益があろうか。大きなところで功があれば、少しのしくじりは少しのことであり、差し支えないことである。

解説

前段の小過を赦す理由を、徂徠は人の才と仕事の関係から説明する。人の才は千差万別で、任せる仕事とぴったり合う才などない。だから多少の過不足や失敗は必ず出る。失敗を恐れて大きな成果を逃せば、咎めはなくとも何の益もない。成果が大きければ小さな失敗は小さなことにすぎない、という割り切りである。人の配置は常に不完全な当てはめだという前提に立てば、管理職が見るべきは失敗の有無ではなく、成果との釣り合いであることがわかる。

この章句が説くこと

人材適材失敗成果評価気質

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