人物志 / 接識
法制之人,以分數為度,故能識較方直之量,而不貴變化之術。術謀之人,以思謨為度,故能成策略之奇,而不識遵法之良。器能之人,以辨護為度,故能識方略之規,而不知制度之原。智意之人,以原意為度,故能識韜諝之權,而不貴法教之常。伎倆之人,以邀功為度,故能識進趣之功,而不通道德之化。臧否之人,以伺察為度,故能識訶砭之明,而不暢倜儻之異。言語之人,以辨析為度,故能識捷給之惠,而不知含章之美。是以互相非駁,莫肯相是。
新字:法制之人,以分数為度,故能識較方直之量,而不貴変化之術。術謀之人,以思謨為度,故能成策略之奇,而不識遵法之良。器能之人,以弁護為度,故能識方略之規,而不知制度之原。智意之人,以原意為度,故能識韜諝之権,而不貴法教之常。伎倆之人,以邀功為度,故能識進趣之功,而不通道徳之化。臧否之人,以伺察為度,故能識訶砭之明,而不暢倜儻之異。言語之人,以弁析為度,故能識捷給之恵,而不知含章之美。是以互相非駁,莫肯相是。
書き下し
法制の人は、分数を以て度と為す、故に能く較方直の量を識りて、変化の術を貴ばず。術謀の人は、思謨を以て度と為す、故に能く策略の奇を成して、遵法の良を識らず。器能の人は、弁護を以て度と為す、故に能く方略の規を識りて、制度の原を知らず。智意の人は、原意を以て度と為す、故に能く韜諝の権を識りて、法教の常を貴ばず。伎倆の人は、邀功を以て度と為す、故に能く進趣の功を識りて、道徳の化に通ぜず。臧否の人は、伺察を以て度と為す、故に能く訶砭の明を識りて、倜儻の異に暢びず。言語の人は、弁析を以て度と為す、故に能く捷給の恵を識りて、含章の美を知らず。是を以て互ひに相非駁し、肯へて相是とする莫し。
現代語訳
法制の人は、数量や区分を物差しとするので、法度が正しく真っすぐであることの量は見分けられるが、変化に応じる術は貴ばない。術謀の人は、思考と謀略を物差しとするので、策略の奇抜さを成し遂げられるが、法に従うことの良さは分からない。器能の人は、弁じて取りなすことを物差しとするので、方策の規模は見分けられるが、制度の根源は知らない。智意の人は、人の意を探ることを物差しとするので、本心を隠す知恵の臨機応変さは見分けられるが、法と教えの常道は貴ばない。伎倆の人は、功績を求めることを物差しとするので、進んで成果を上げる功は見分けられるが、道徳による感化には通じない。臧否の人は、うかがい察することを物差しとするので、叱り刺す明察は見分けられるが、自在で型破りな人の異才には理解が及ばない。言語の人は、弁じ分析することを物差しとするので、機敏な応答の聡さは見分けられるが、内に美を秘めることの美しさは知らない。こうして互いに非難し合い、相手を是と認めようとしない。
解説
関連する章句
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『長短経』知人故に人物志に曰く「清節の人は、正直を以て度と為す。故に其の衆材を歴るや、能く性行の常を識るも、或いは法術の詭を疑う。術謨の人は、思謀を以て度と為す。故に能く策略の奇を識るも、或いは遵法の良を失す。伎倆の人は、功を邀うるを以て度と為す。故に能く進趨の功を識るも、道徳の化に通ぜず。言語の人は、弁折を以て度と為す。故に能く捷給の慧を識るも、含章の美を知らず。是を以て互いに相非駁して、肯えて相是とせず。凡そ此の類は、皆な一流と謂う。故に一流の人は能く一流の善を識り、二流の人は能く二流の美を識る。尽く諸流有らば、則ち亦た能く衆材に兼達せん」と。又た曰く「夫れ名を務むる者は己の後に出づる能わず。是の故に、性同じくして材傾けば、則ち相援けて相頼る。性同じくして勢均しければ、則ち相競いて相害す。此れ又た同体の変なり、察せざる可からず」と。〕
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人物志・接識故に己を以て人を観れば、則ち知る可しと以為い、人の人を察するを観れば、則ち識らずと以為う。
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人物志・接識能く同体の善を識るも、或いは異量の美を失う。
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人物志・接識尽く諸流を有すれば、則ち亦能く兼ねて衆材に達す。故に兼材の人は、国体と同じ。其の一隅を観んと欲すれば、則ち終朝以て之を識るに足り、将に其の詳を究めんとすれば、則ち三日にして後足る。何をか三日にして後足ると謂ふ。夫れ国体の人は、兼ねて三材有り、故に談ずること三日ならざれば、以て之を尽くすに足らず。一は以て道徳を論じ、二は以て法制を論じ、三は以て策術を論じ、然る後に乃ち能く其の長ずる所を竭くして、之を挙げて疑はず。然らば則ち、何を以て其の兼偏を知りて、之と言はんか。其の人と為りや、務めて流数を以て、人の長ずる所を杼べて、之が名目を為す、是くの如きは兼なり。如し陳ぶるに美を以てし、人の之を称せんことを欲し、人の有する所を知らんことを欲せざる、是くの如き者は偏なり。人を知らんことを欲せざれば、則ち言疑はざる無し。是の故に、深きを以て浅きに説けば、益々深くして益々異なり。異なれば則ち相返り、反すれば則ち相非とす。是の故に、多く陳べて直に処れば、則ち以て美を見すと為す。静かに聴きて言はざれば、則ち以て虚空と為す。抗して高談を為せば、則ち以て不遜と為す。遜譲して尽くさざれば、則ち以て浅陋と為す。言一善を称すれば、則ち以て博からずと為す。歴く衆奇を発すれば、則ち以て多端と為す。意に先んじて言へば、則ち以て美を分かつと為す。失に因りて之を難ずれば、則ち以て喩らずと為す。説くに対反を以てすれば、則ち以て己に較ぶと為す。博くするに異雑を以てすれば、則ち以て要無しと為す。
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人物志・接識凡そ此の類は、皆一流の材と謂ふなり。若し二至已上ならば、亦其の兼ぬる所に随ひて、以て異数に及ぶ。
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人物志・接識夫れ清節の人は、正直を以て度と為す。故に其の衆材を歴るや、能く性行の常を識るも、或いは法術の詭を疑う。
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