説苑 / 說叢
百方之事,萬變鋒出:或欲持虛,或欲持實,或好浮遊,或好誠必,或行安舒,或為飄疾。從此觀之,天下不可一,聖王臨天下而能一之。
新字:百方之事,万変鋒出:或欲持虚,或欲持実,或好浮遊,或好誠必,或行安舒,或為飄疾。従此観之,天下不可一,聖王臨天下而能一之。
書き下し
百方の事、萬變鋒出す。或いは虛を持せんと欲し、或いは實を持せんと欲し、或いは浮遊を好み、或いは誠必を好み、或いは行い安舒に、或いは飄疾を為す。此れより之を觀れば、天下は一なるべからず、聖王天下に臨みて能く之を一にす。
現代語訳
あらゆる事柄は、無数に変化して次々と現れる。ある者は虚を守ろうとし、ある者は実を守ろうとし、ある者は浮ついた自由さを好み、ある者は誠実さを好み、ある者は穏やかに行動し、ある者は疾風のように行動する。これから見れば、天下の人々の性質は一様ではあり得ないが、聖王は天下に臨んでこれをよくまとめ上げる。
解説
世の中の人間模様が虚実・浮沈・緩急と限りなく多様であることを認めた上で、聖王はその多様性を強引に均一化するのではなく「一にする」、すなわち調和させる力を持つと説く章である。多様な個性や価値観が並び立つ組織や社会において、リーダーの役割は全員を同じ型にはめることではなく、異なる資質を活かしながら全体としての方向性を一つにまとめることにある。多様性を認めた上での統合という視点は、現代の多様な人材を束ねるマネジメントにそのまま通じる教訓である。
この章句が説くこと
多様性統合聖王
関連する章句
-
尚書・蔡仲之命善を為すこと同じからざれども、同じく治に歸す。惡を為すこと同じからざれども、同じく亂に歸す。
-
人物志・流業凡そ此の八業は、皆三材を以て本と為す。故に波流分かれ別かると雖も、皆軽事の材為るなり。
-
『墨子』親士故に賢君有りと雖も、功無きの臣を愛せず。慈父有りと雖も、益無きの子を愛せず。是の故に其の任に勝えずして其の位に處るは、此の位の人に非ざるなり。其の爵に勝えずして其の祿に處るは、此の祿の主に非ざるなり。良弓は張り難し、然れども以て髙きに及び深きに入る可し。良馬は乗り難し、然れども以て重きに任じ逺きに致す可し。良才は令し難し、然れども以て君を致して尊ばれしむ可し。是の故に江河は小谷の己を滿たすを惡まず、故に能く大なり。聖人は、事に辭すること無く、物に違うこと無し、故に能く天下の器と為る。是の故に江河の水は、一源に非ざるなり。千鎰の裘は、一狐の白に非ざるなり。夫れ惡んぞ同方を取り、同じからざるを取らざる者有らんや。盖し兼王の道に非ざるなり。
-
人物志・接識能く同体の善を識るも、或いは異量の美を失う。
-
菜根譚・前集人人に個の大慈悲有り。維摩と屠劊と二心無きなり。処処に種の真趣味有り。金屋と茅簷と両地に非ざるなり。只だ是れ慾に蔽われ情に封ぜられ、面に当たりて錯り過ぐ。便ち咫尺も千里なり。
-
菜根譚・前集身を持するには太(はなは)だ皎潔なるべからず。一切の汚辱垢穢、些かを茹納するを要す。人に与するには太だ分明なるべからず。一切の善悪賢愚、包容し得るを要す。