文昌帝君陰騭文 / 第三段・涸轍の魚を済ふが如く、密羅の雀を救ふが如し
濟急如濟涸轍之魚,救危如救密羅之雀。矜孤恤寡,敬老憐貧,舉善薦賢,饒人責己。
新字:済急如済涸轍之魚,救危如救密羅之雀。矜孤恤寡,敬老憐貧,舉善薦賢,饒人責己。
書き下し
急を済ふこと涸轍の魚を済ふが如く、危ふきを救ふこと密羅の雀を救ふが如し。孤を矜れみ寡を恤み、老を敬し貧を憐み、善を挙げ賢を薦め、人を饒して己を責む。
現代語訳
急場を助けるときは、干上がったわだちの水たまりにいる魚を助けるようにし、危ういところを救うときは、細かい網にかかった雀を救うようにします。みなしごを哀れみ、やもめを気づかい、老人を敬い、貧しい者を憐れみ、善い人を推し挙げ、賢い人を推薦し、人には寛くして自分を責めます。
解説
助け方の速さを、二つのたとえで示した段です。涸轍の魚は『荘子』外物篇に見える話で、車のわだちにできた水たまりでもがく鮒が、いまわずかな水があれば助かるのに、後で大きな川の水を引いてやると言われて怒る、という寓話でした。密羅の雀も同じで、どちらも間に合うかどうかがすべてです。助けるつもりがあるかではなく、今すぐ動けるかを問うています。後半は前半と対照的に、日々の積み重ねの話です。挙善薦賢は、良い人を自分より前に出すこと。饒人責己は、人には寛く自分には厳しくということで、これが崩れると前に並べた徳はすべて形だけになります。
この章句が説くこと
涸轍急場推薦責己弱者
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