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五常訓 / 巻之三・仁之下

何の福か是に如かん、何の祈禱祭祀か是に如かんや。人をすくふ道は多し。うゑこゞえする人を助け、鰥寡孤獨のより所なき者を惠み、乞丐の人にほどこし、人の困窮をたすけ、もし位あらば、善人をすゝめ、惡人をしりぞけ、才能を取あげ、人の害をのぞき、人の利をおこし、ひろく民をすくひ助くべし。位なくとも、人をあはれむ心は同じかるべし。人の財をつひやさず。人に苦勞をなさしめず。人の財を借りては、我が身を儉約にして、必早く返して、人をくるしめず。老人病人をいたはり、かたわなる人をあはれみ、人の才能をねたまず、ほめすゝめ、妄に人をそしらず。人に善をすゝめ、惡をいましめ、人を敎へてうまず。下部をあはれみ、風雨寒暑に人を苦めず。

新字:何の福か是に如かん、何の祈祷祭祀か是に如かんや。人をすくふ道は多し。うゑこゞえする人を助け、鰥寡孤独のより所なき者を恵み、乞丐の人にほどこし、人の困窮をたすけ、もし位あらば、善人をすゝめ、悪人をしりぞけ、才能を取あげ、人の害をのぞき、人の利をおこし、ひろく民をすくひ助くべし。位なくとも、人をあはれむ心は同じかるべし。人の財をつひやさず。人に苦労をなさしめず。人の財を借りては、我が身を倹約にして、必早く返して、人をくるしめず。老人病人をいたはり、かたわなる人をあはれみ、人の才能をねたまず、ほめすゝめ、妄に人をそしらず。人に善をすゝめ、悪をいましめ、人を教へてうまず。下部をあはれみ、風雨寒暑に人を苦めず。

書き下し

何の福か是に如かん、何の祈祷祭祀か是に如かんや。人をすくふ道は多し。うゑこごえする人を助け、鰥寡孤独のより所なき者を恵み、乞丐の人にほどこし、人の困窮をたすけ、もし位あらば、善人をすすめ、悪人をしりぞけ、才能を取あげ、人の害をのぞき、人の利をおこし、ひろく民をすくひ助くべし。位なくとも、人をあはれむ心は同じかるべし。人の財をつひやさず。人に苦労をなさしめず。人の財を借りては、我が身を倹約にして、必早く返して、人をくるしめず。老人病人をいたはり、かたわなる人をあはれみ、人の才能をねたまず、ほめすすめ、妄に人をそしらず。人に善をすすめ、悪をいましめ、人を教へてうまず。下部をあはれみ、風雨寒暑に人を苦めず。

現代語訳

どんな福もこれに及ぶでしょうか。どんな祈祷や祭祀もこれに及ぶでしょうか。人を救う道は多くあります。飢えこごえている人を助け、身寄りのない独り身や孤児や老人を恵み、物乞いに施し、人の困窮を助け、もし位があれば、善人を推し進め、悪人を退け、才能のある人を取り立て、人の害を除き、人の利をおこし、広く民を救い助けるべきです。位がなくても、人をあわれむ心は同じであるべきです。人の財を費やさせません。人に苦労をかけません。人の財を借りたら、自分の身を倹約して、必ず早く返し、人を苦しめません。老人や病人をいたわり、体の不自由な人をあわれみ、人の才能をねたまずにほめ励まし、みだりに人をそしりません。人に善をすすめ、悪を戒め、人を教えて飽きません。召使いをあわれみ、風雨寒暑に人を苦しめません。

解説

陰徳に勝る福も祈祷もないと述べ、人を救う具体的な方法を数多く並べています。困窮者への施し、才能ある人の登用、借りた財を早く返すこと、人の才能をねたまず褒めること、人を教えて倦まないこと、使用人を悪天候の中で無理に働かせないことなど、身分や立場に応じてできることが挙げられています。特別な財力がなくても、日々の言動の中に陰徳の機会はいくらでもあるという教えは、職場や家庭での小さな思いやりを見直すきっかけになります。

この章句が説くこと

陰徳救済仁思いやり教育

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