一枚起請文 / 愚者になって念仏する
念佛を信ゼン人ハたとひ一代ノ法を能々學ストモ。一文不知ノ愚どんの身ニナシテ。尼入道ノ無ちノともがらに同して。ちシャノふるまいヲせずして。只一かうに念佛すべし。
新字:念仏を信ゼン人ハたとひ一代ノ法を能々学ストモ。一文不知ノ愚どんの身ニナシテ。尼入道ノ無ちノともがらに同して。ちシャノふるまいヲせずして。只一かうに念仏すべし。
書き下し
念仏を信ぜん人は、たとい一代の法をよくよく学すとも、一文不知の愚鈍の身になして、尼入道の無智のともがらに同じゅうして、智者のふるまいをせずして、ただ一向に念仏すべし。
現代語訳
念仏を信じる人は、たとえ釈迦一代の教えをよくよく学んだとしても、一文字も知らない愚かで鈍い身だと我が身を思いなし、尼や入道のような、教えを知らない人々と同じ立場に立って、智者らしいふるまいをせず、ただひたすらに念仏しなさい。
解説
法然自身が、当代随一の学僧として知られた人でした。その人が、学んだ知識を誇らず、無学の人と同じ立場で念仏せよと説きます。尼入道は、出家した女性や在家の入道者を指し、当時は経典を学ぶ機会の乏しい人々でした。身分や学識による見方が表れた言い方ですが、肩書きや知識を脱いで一人の人間として向き合え、という点に重みがあります。経験を積んだ管理職ほど、知識が壁になり、素直に聞くことや頭を下げることが難しくなります。学んだことを持ちながら、それを鎧にしない構えを教えてくれます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
一文不知愚鈍の身尼入道智者のふるまい一向謙虚
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