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法句経 / 第二十一 雑の部 三〇二・三〇三 家に住むは苦なり

三〇二 出家すること難し、(出家の行を)樂ふこと難し、家は住すること難くして苦なり、同輩と共に住すること苦なり、人老ゆれば苦に隨はる、故に人は老いざるを希へ、亦苦に隨はれざるを希へ。 三〇三 信あり、戒を具へ、譽と財とを具ふれば到る處として供養せられざることなし。

新字:三〇二 出家すること難し、(出家の行を)楽ふこと難し、家は住すること難くして苦なり、同輩と共に住すること苦なり、人老ゆれば苦に随はる、故に人は老いざるを希へ、亦苦に随はれざるを希へ。 三〇三 信あり、戒を具へ、誉と財とを具ふれば到る処として供養せられざることなし。

書き下し

三〇二 出家すること難し、(出家の行を)楽ふこと難し、家は住すること難くして苦なり、同輩と共に住すること苦なり、人老ゆれば苦に随はる、故に人は老いざるを希へ、亦苦に随はれざるを希へ。 三〇三 信あり、戒を具へ、誉と財とを具ふれば到る処として供養せられざることなし。

現代語訳

出家することは難しく、出家の修行を楽しむことも難しい。家に住むことは難しく、苦しい。仲間とともに住むこともまた苦しい。人は老いると苦しみに付きまとわれる。だから人は老いない境地を願え、また苦しみに付きまとわれないことを願え。信があり、戒を身にそなえ、名誉と財とをそなえた人は、どこへ行っても敬われ供養されないことはない。

解説

雑の部の終わり近くに置かれた二偈である。前の偈は、どこにも逃げ場のない苦を畳みかける。出家は難しく、出家の行を楽しむのも難しい。かといって家に住むのも難しく苦しい。人と共に住むのも苦しく、老いれば苦がついて回る。出家と在家を比べてどちらかを勧めるのではなく、どちらを選んでも難しいと正直に認めている点が、この偈の手ざわりである。そのうえで「老いざるを希へ」と結ぶ。ここでの老いない境地とは、年を取らないことではなく、老いの苦に付き従われない心のありようを指す。続く偈は一転して、信と戒と誉と財をそなえた人は至るところで敬われると述べ、在家の徳を肯定する。どの道にも苦はあり、どの道にも徳がある。キャリアの選択に正解を探して迷う人には、選んだ道の上で何をそなえるかへ問いを移すよう促す言葉として読める。

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