抱朴子外篇 / 重言
門人進曰:「先生默然,小子胡述?且與庸夫無殊焉。竊謂鍾不鳴,則不異於積銅;浮磬息音,則未別乎聚石也。」玄泊先生答曰:「吾特收遠名於萬代,求知己於將來,豈能競見知於今日,標格於一時乎?陶甄以盛酒,雖美不見酣;身卑而言高,雖是不見信。徒卷舌而竭聲,將何救於流遁?古人六十笑五十九,不遠迷復,乃覺有以也。夫玉之堅也,金之剛也,冰之冷也,火之熱也,豈須自言,然後明哉!且八音九奏,不能無長短之病,養由百發不能止,將有一失之疏,玩憑河者,數溺於水;好劇談者,多漏於口。伯牙謹於操弦,故終無煩手之累;儒者敬其辭令,故終無樞機之辱。淺近之徒,則不然焉。
新字:門人進曰:「先生黙然,小子胡述?且与庸夫無殊焉。窃謂鍾不鳴,則不異於積銅;浮磬息音,則未別乎聚石也。」玄泊先生答曰:「吾特収遠名於万代,求知己於将来,豈能競見知於今日,標格於一時乎?陶甄以盛酒,雖美不見酣;身卑而言高,雖是不見信。徒巻舌而竭声,将何救於流遁?古人六十笑五十九,不遠迷復,乃覚有以也。夫玉之堅也,金之剛也,冰之冷也,火之熱也,豈須自言,然後明哉!且八音九奏,不能無長短之病,養由百発不能止,将有一失之疏,玩憑河者,数溺於水;好劇談者,多漏於口。伯牙謹於操弦,故終無煩手之累;儒者敬其辞令,故終無枢機之辱。浅近之徒,則不然焉。
書き下し
門人進みて曰く、「先生默然たり、小子胡ぞ述べん。且つ庸夫と殊なる無し。竊かに謂えらく、鍾の鳴らざるは、則ち積銅に異ならず、浮磬の音を息むは、則ち聚石に別たず」と。玄泊先生答えて曰く、「吾は特だ遠名を万代に収め、知己を将来に求むるのみ。豈に今日に見知を競い、格を一時に標さんや。陶甄を以て酒を盛れば、美なりと雖も酣わず。身卑くして言高ければ、是なりと雖も信ぜられず。徒らに舌を巻き声を竭くすも、将た何ぞ流遁を救わん。古人の六十にして五十九を笑い、遠からずして迷い復るは、乃ち以有るを覚る。夫れ玉の堅き、金の剛き、冰の冷たき、火の熱きは、豈に自ら言いて然る後に明らかならんや。且つ八音九奏は、長短の病無き能わず。養由の百発は止むる能わず、将に一失の疏有らんとす。河を憑るを玩ぶ者は、数しば水に溺れ、劇談を好む者は、多く口に漏らす。伯牙は弦を操るに謹むが故に、終に手を煩わす累無く、儒者は其の辞令を敬むが故に、終に枢機の辱め無し。浅近の徒は、則ち然らず。
現代語訳
門人が進み出て言った。「先生が黙っておられては、私どもは何を述べましょうか。凡夫と変わりません。ひそかに思うに、鐘が鳴らなければ積まれた銅と異ならず、吊るした磬が音を止めれば、集められた石と区別がつきません」と。玄泊先生は答えた。「私はただ、遠い名を万世に収め、知己を将来に求めるだけである。どうして今日、見知られることを競い、一時に格を標そうか。素焼きの甕に酒を盛れば、うまくても酔えない。身が卑しくて言が高ければ、正しくても信じられない。いたずらに舌を巻き声を嗄らしても、流れ去る風潮を救えようか。古人が六十歳で五十九歳の誤りを笑い、遠くへ行かないうちに迷いから戻ったのは、理由があるのだと悟った。玉の堅さ、金の剛さ、氷の冷たさ、火の熱さは、自分で言ってから明らかになるだろうか。八音九奏の音楽にも長短の欠点はあり、養由基は百発百中でもやがて一失の疎漏がある。河を渡る遊びを楽しむ者はしばしば溺れ、談論を好む者は多く口から漏らす。伯牙は弦を操るのに慎重だったので、手を煩わす累がなく、儒者は言葉を慎んだので、機枢の辱めがなかった。浅薄な連中はそうではない。
解説
この章句が説くこと
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