抱朴子外篇 / 正郭
無故沈浮於波濤之間,倒屣於埃塵之中,遨集京邑,交關貴遊,輪刓篋弊,匪遑啟處,遂使聲譽翕熠,秦胡景附,巷結朱輪之軌,堂列赤紱之客,軺車盈街,載奏連車,誠為遊俠之徒,未合逸隱之科也。有道之世而臻此者,猶不得復廁高潔之條貫焉,為秘丘之俊民,而修茲在於危亂之運,奚足多哉!孰不謂之暗於天人之否泰,蔽於自量之優劣乎!空背恬默之途,竟無有為之益,不值禍敗,蓋其幸耳。以此為憂世念國,希擬素王,有似蹇足之尋龍騏,斥鷃之逐鴻鵠,焦冥之方雲鵬,鼷鼬之比巨象也。
新字:無故沈浮於波濤之間,倒屣於埃塵之中,遨集京邑,交関貴遊,輪刓篋弊,匪遑啓処,遂使声誉翕熠,秦胡景附,巷結朱輪之軌,堂列赤紱之客,軺車盈街,載奏連車,誠為遊侠之徒,未合逸隠之科也。有道之世而臻此者,猶不得復廁高潔之条貫焉,為秘丘之俊民,而修茲在於危乱之運,奚足多哉!孰不謂之暗於天人之否泰,蔽於自量之優劣乎!空背恬黙之途,竟無有為之益,不値禍敗,蓋其幸耳。以此為憂世念国,希擬素王,有似蹇足之尋竜騏,斥鷃之逐鴻鵠,焦冥之方雲鵬,鼷鼬之比巨象也。
書き下し
故無くして波濤の間に沈浮し、埃塵の中に倒屣し、京邑に遨集し、貴遊に交関し、輪は刓れ篋は弊れ、啓処に遑あらず、遂に声誉をして翕熠せしめ、秦胡は景附し、巷には朱輪の軌を結び、堂には赤紱の客を列ね、軺車は街に盈ち、載奏は車に連なる。誠に遊俠の徒と為して、未だ逸隠の科に合わず。有道の世にして此に臻る者すら、猶お復た高潔の条貫に廁わるを得ず、秘丘の俊民と為るも、而るに茲を修むること危乱の運に在りては、奚ぞ多とするに足らんや。孰か之を天人の否泰に暗く、自量の優劣に蔽わると謂わざらんや。空しく恬黙の途に背き、竟に有為の益無し。禍敗に値わざるは、蓋し其の幸いのみ。此を以て世を憂え国を念い、素王に希擬すと為さば、蹇足の龍騏を尋ね、斥鷃の鴻鵠を逐い、焦冥の雲鵬に方び、鼷鼬の巨象に比するに似たるなり。
現代語訳
わけもなく波濤の間に浮き沈みし、塵埃の中で慌てて履物を逆さに履くほど客を迎え、都に集まって遊び、権貴との交わりに奔走し、車輪はすり減り、行李は傷み、落ち着く暇もなく、ついに名声は盛んに輝き、秦や胡の者までが影のようにつき従い、巷には朱塗りの車の轍が連なり、堂には赤い印綬の客が並び、軽い車は街に満ち、書状を載せた車は連なった。これはまことに遊侠の徒であって、隠逸の部類にはあたらない。有道の世であってこのようであっても、なお高潔の列に加わることはできない。ましてや危乱の時勢にこれを行うのは、どうして褒めるに足りようか。天人の否泰に暗く、自分を量ることに目が曇っていると、誰が言わずにいようか。むなしく静かな隠遁の道に背き、結局、事をなす益もなかった。禍敗に遭わなかったのは、ただ幸いにすぎない。これをもって世を憂え国を思い、素王に擬すというのなら、足の不自由な者が龍や名馬を追い、小さな鳥が鴻鵠を追い、焦冥という小虫が大鵬と並び、ねずみやいたちが大象に比するのに似ている。
解説
この章句が説くこと
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説苑・雜言淳于髡、孟子に謂いて曰く、「名実を先んずる者は、人の為にする者なり。名実を後にする者は、自ら為にする者なり。夫子は三卿の中に在りて、名実未だ上下に加わらずして之を去る、仁者固より此くの如きか」と。孟子曰く、「下位に居りて、賢を以て不肖に事えざる者は、伯夷なり。五たび湯に就き、五たび桀に就く者は、伊尹なり。汙君を悪まず、小官を辞せざる者は、柳下惠なり。三子は道を同じくせざれども、其の趣くところは一なり。一とは何ぞや。曰く仁なり。君子も亦仁のみ、何ぞ必ずしも同じからん」と。曰く、「魯の穆公の時、公儀子政を為し、子思・子庚臣為り、魯の削らるるや滋々甚だし。是くの若きは、賢者の国に益無きなり」と。曰く、「虞は百里奚を用いずして亡び、秦の穆公は之を用いて霸たり。故に賢を用いざれば則ち亡ぶ、削らるる何ぞ得べけんや」と。曰く、「昔者、王豹淇に処りて、河西謳を善くす。綿駒高唐に処りて、齊右歌を善くす。華舟・杞梁の妻、善く其の夫を哭して国俗を変ず。諸を内に有すれば必ず外に形る。其の事を為して其の功無きは、髡未だ睹ざるなり。是の故に賢者無きなり、有らば則ち髡必ず之を識らん」と。曰く、「孔子魯の司寇と為りて用いられず、祭に従いて膰肉至らず、冕を脱がずして行く。其の不善なる者は以て肉の為なりと為し、其の善なる者は以て礼の為なりと為す。乃ち孔子は微罪を以て行かんと欲し、苟くも去るを為さんと欲せざるなり。故に君子の為す所は、衆人固より識る能わざるなり」と。
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『呻吟語』外篇・品藻・名實は形影の如し名實は形影の如し。實無きの名は、造物の忌む所にして、矯偽なる者は之を貪り、暗修なる者は之を避く。
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論語・八佾篇季氏、泰山に旅す。子、冉有に謂いて曰く、『子、止むる能わざるか。』曰く、『能わず。』子曰く、『ああ!曾て泰山は林放に如かずと謂えりや。』
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呂氏春秋・審分⑤故に其の實を按じて其の名を審らかにして、以て其の情を求め、其の言を聽きて其の類を察し、放悖せしむる無し。夫れ名は其の實に當らざること多くして、事は其の用に當らざる者多し。故に人主は以て名分を審らかにせざる可からざるなり。名分を審らかにせざるは、是れ壅を惡みて愈々塞がるなり。壅塞の任は、臣下に在らず、人主に在り。堯・舜の臣、獨り義ならず、湯・禹の臣、獨り忠ならず、其の數を得ればなり。桀・紂の臣、獨り鄙ならず、幽・厲の臣、獨り辟ならず、其の理を失えばなり。
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論語・雍也篇子曰く、觚、觚ならず。觚ならんや、觚ならんや。
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『呻吟語』外篇・人情・何ぞ其の名を惡みて其の實を好むや人を稱するに顏子を以てせば、悅ばざる者無し。其の貧賤にして夭なるを忘る。人を稱するに桀・紂・盜跖を以てせば、怒らざる者無し。其の富貴にして壽なるを忘る。善を好み惡を惡むの同じく然ること此の如し。而るに人と作るは卻つて桀・紂・盜跖と同じく歸す。何ぞ其の名を惡みて其の實を好むや。
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