導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

抱朴子外篇 / 文行

又曰:「應龍徐舉,顧眄而淩雲;汗血緩步,呼吸而千里。故螻蟻怪其無階而高致,駑蹇驚過己之不漸也。若夫馳驟詩論之中,周旋一經之內,以常情覽巨異,以褊量測無涯,始自髫齔,詣於振素,不能得也。又世俗率貴古昔而賤當今,敬所聞而黷所見。同時雖有追風絕景之駿,猶謂不及伯樂之所禦也。雖有宵良兼城之璞,猶謂不及楚和之所泣也。雖有斷馬指雕之劍,猶謂不及歐冶之所鑄也。雖有生枯起朽之藥,猶謂不及和鵲之所合也。雖有冠群獨行之士,猶謂不及於古人也。」

新字:又曰:「応竜徐舉,顧眄而淩雲;汗血緩歩,呼吸而千里。故螻蟻怪其無階而高致,駑蹇驚過己之不漸也。若夫馳驟詩論之中,周旋一経之内,以常情覧巨異,以褊量測無涯,始自髫齔,詣於振素,不能得也。又世俗率貴古昔而賤当今,敬所聞而黷所見。同時雖有追風絶景之駿,猶謂不及伯楽之所禦也。雖有宵良兼城之璞,猶謂不及楚和之所泣也。雖有断馬指雕之剣,猶謂不及欧冶之所鋳也。雖有生枯起朽之薬,猶謂不及和鵲之所合也。雖有冠群独行之士,猶謂不及於古人也。」

書き下し

又曰く、「応龍は徐ろに挙がり、顧眄して雲を凌ぐ。汗血は歩を緩め、呼吸して千里なり。故に螻蟻は其の階無くして高く致るを怪しみ、駑蹇は己を過ぐるの漸ならざるに驚く。若し夫れ詩論の中に馳驟し、一経の内に周旋し、常情を以て巨異を覧、褊量を以て無涯を測らば、髫齔より始めて、振素に詣るも、得る能わざるなり。又た世俗は率ね古昔を貴びて当今を賤しみ、聞く所を敬いて見る所を黷す。同時に追風絶景の駿有りと雖も、猶お伯楽の禦する所に及ばずと謂う。宵良兼城の璞有りと雖も、猶お楚和の泣きし所に及ばずと謂う。断馬指雕の剣有りと雖も、猶お欧冶の鋳る所に及ばずと謂う。生枯起朽の薬有りと雖も、猶お和鵲の合する所に及ばずと謂う。冠群独行の士有りと雖も、猶お古人に及ばずと謂うなり」と。

現代語訳

また言う。「応龍はゆっくりと身を起こし、ひと目を向けただけで雲を越える。汗血馬は歩みを緩めても、ひと呼吸で千里を行く。だから螻蛄や蟻は、階段もないのに高みに至るのを怪しみ、のろい駄馬は、自分を追い越していくのがあまりに急なことに驚く。詩や論の中を駆け回り、一つの経書の内を行き来するだけの者が、凡人の物差しで並外れたものを見、狭い器量で果てしないものを測るなら、子どものころから白髪になるまで続けても、得ることはできない。また世俗は、たいてい昔を貴んで今を賤しみ、伝え聞いたものを敬って目の前のものを軽んじる。同じ時代に風を追い影を絶つほどの駿馬がいても、伯楽が御した馬には及ばないと言う。夜に光り城に値する玉があっても、楚の和氏が泣いて献じた玉には及ばないと言う。馬を断ち猛禽を指して落とす剣があっても、欧冶の鋳たものには及ばないと言う。枯れたものを生かし朽ちたものを起こす薬があっても、医和や扁鵲の調合したものには及ばないと言う。群を抜いて独り行く士がいても、古人には及ばないと言うのである」と。

解説

優れたものは、並の物差しでは測れません。「螻蟻は其の階無くして高く致るを怪しみ」とあるように、小さな者は、一足飛びに高みへ上る者を理解できないのです。後半は一転して、世の人は昔を貴び今を賤しむと批判します。同時代に名馬も名剣も名医もいるのに、必ず「古人には及ばぬ」と言う。これは評価の怠慢でもあります。身近な人材の価値は、遠い過去の名声に隠れて見えなくなります。いま隣にいる人の力を、先入観なしに測れているかを問う段です。

この章句が説くこと

其の階無くして高く致るを怪しみ古昔を貴びて当今を賤しみ冠群独行の士有りと雖も猶お古人に及ばずと謂う評価先入観

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る