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抱朴子外篇 / 喻蔽

「子又譏雲:『乍入乍出,或儒或墨。』夫發口為言,著紙為書。書者所以代言,言者所以書事。若用筆不宜雜載,是論議當常守一物。昔諸侯訪政,弟子問仁,仲尼答之,人人異辭。蓋因事托規,隨時所急,譬猶治病之方千百,而針炙之處無常,卻寒以溫,除熱以冷,期於救死存身而已。豈可詣者逐一道如齊楚,而不改路乎?陶朱白圭之財不一物者,豐也;雲夢孟諸所生萬殊者,曠也。故《淮南鴻烈》,始於《原道》《俶真》,而亦有《兵略》《主術》,莊周之書,以死生為一,亦有畏犧慕龜請粟救饑。若以所言不純而棄其文,是治珠翳而剜眼,療濕痹而刖足,患荑莠而刈谷,憎枯枝而伐樹也。

新字:「子又譏雲:『乍入乍出,或儒或墨。』夫発口為言,著紙為書。書者所以代言,言者所以書事。若用筆不宜雑載,是論議当常守一物。昔諸侯訪政,弟子問仁,仲尼答之,人人異辞。蓋因事托規,随時所急,譬猶治病之方千百,而針炙之処無常,却寒以温,除熱以冷,期於救死存身而已。豈可詣者逐一道如斉楚,而不改路乎?陶朱白圭之財不一物者,豊也;雲夢孟諸所生万殊者,曠也。故《淮南鴻烈》,始於《原道》《俶真》,而亦有《兵略》《主術》,荘周之書,以死生為一,亦有畏犠慕亀請粟救饑。若以所言不純而棄其文,是治珠翳而剜眼,療湿痹而刖足,患荑莠而刈谷,憎枯枝而伐樹也。

書き下し

「子又た譏りて云う、乍ち入り乍ち出で、或いは儒、或いは墨と。夫れ口を発すれば言と為り、紙に著せば書と為る。書は言に代わる所以にして、言は事を書する所以なり。若し筆を用いて雑載に宜しからずとせば、是れ論議は当に常に一物を守るべし。昔、諸侯は政を訪ね、弟子は仁を問い、仲尼之に答うるに、人人辞を異にす。蓋し事に因りて規を托し、時に随いて急なるを取る。譬うれば猶お病を治する方の千百にして、針灸の処は常無く、寒を卻くるに温を以てし、熱を除くに冷を以てし、死を救い身を存するを期するのみ。豈に詣る者は逐一に道は斉楚の如くにして、路を改めざる可けんや。陶朱・白圭の財の一物ならざるは、豊かなればなり。雲夢・孟諸の生ずる所万殊なるは、曠ければなり。故に淮南鴻烈は、原道・俶真に始まりて、亦た兵略・主術有り。荘周の書は、死生を以て一と為して、亦た犠を畏れ亀を慕い粟を請い饑えを救う有り。若し言う所の純ならざるを以て其の文を棄てば、是れ珠の翳を治して眼を剜り、湿痹を療して足を刖り、荑莠を患いて谷を刈り、枯枝を憎みて樹を伐るなり。

現代語訳

「あなたはまた、出たり入ったり、あるときは儒、あるときは墨だと譏る。口から発すれば言となり、紙に著せば書となる。書は言に代わるものであり、言は事を記すものである。もし筆を用いて雑多に載せるのが良くないというなら、議論は常に一つの物事だけを守るべきことになる。昔、諸侯は政を尋ね、弟子は仁を問い、孔子はこれに答えるのに、人ごとに言葉を異にした。思うに、事に応じて規範を託し、時に従って急を要することを取ったのである。たとえば病を治す処方が千百もあり、針灸の場所も一定でなく、寒さを除くのに温めるもので、熱を除くのに冷やすもので行い、ただ死を救い身を存することを期すだけなのと同じだ。どうして目的地に行く者が、一つ一つ斉や楚へ行く道が同じだからといって、路を改めずにいられようか。陶朱公や白圭の財が一つの物に限らないのは、豊かだからである。雲夢や孟諸の産物が万殊であるのは、広大だからである。だから淮南鴻烈は、原道・俶真に始まりながら、兵略・主術もある。荘周の書は、死生を一つとしながら、犠牲を恐れ亀を慕い、粟を請うて飢えを救う話もある。もし言うところが純でないからといってその文を棄てるなら、それは目のかすみを治すのに眼をえぐり、湿痹を治すのに足を切り、雑草を憎んで穀物を刈り、枯れ枝を憎んで樹を伐るようなものである。

解説

文が儒や墨と出入りしているという批判に対する返答です。言は事を述べるもの、書は言に代わるもの。孔子も問う人ごとに違う答えをした、と言います。病を治す方が千百あり、針灸の処も一定でないのと同じで、目的は「死を救い身を存する」ことだけ。淮南鴻烈も荘周も一貫しない箇所があるからといって文を棄てるのは、目のかすみを治すのに眼をえぐるようなもの。部分の矛盾で全体を捨てる愚を指摘します。原則を保ちながら状況に応じて表現を変える管理職の姿勢にも通じます。一貫性とは、同じことを言い続けることだけを指しません。

この章句が説くこと

事に因りて規を托し時に随いて急なるを取る珠の翳を治して眼を剜り一貫状況全体

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