呻吟語 / 外篇・廣喻・膠柱して人を緩急の際に用ふ
人中黃之穢,天靈蓋之凶,人人畏惡之矣。臥病於牀,命在須臾,片腦蘇合,玉屑金泊,固有視為無用之物,而唯彼之亟亟者,時有所需也。膠柱用人於緩急之際,良可悲矣!
新字:人中黄之穢,天霊蓋之凶,人人畏悪之矣。臥病於牀,命在須臾,片脳蘇合,玉屑金泊,固有視為無用之物,而唯彼之亟亟者,時有所需也。膠柱用人於緩急之際,良可悲矣!
書き下し
人中黃の穢、天靈蓋の凶は、人人之を畏れ惡む。病に牀に臥し、命須臾に在らば、片腦蘇合、玉屑金泊は、固より視て無用の物と為す有り。而して唯だ彼の亟亟たる者は、時に需むる所有ればなり。膠柱して人を緩急の際に用ふるは、良に悲しむ可し。
現代語訳
人中黄の汚らわしさ、天霊蓋の不吉さは、誰もが畏れ憎みます。しかし病で床に伏し命が須臾に迫れば、竜脳や蘇合香、玉の粉や金箔は、無用の物として見られます。それでいてあの汚らわしいものが急いで求められるのは、その時に必要だからです。柱に膠を塗って動かせないように人を急場に用いるのは、実に悲しむべきことです。
解説
薬として使われる汚らわしいものと、高価だが効かないものを対比します。命が迫れば、玉の粉や金箔は無用で、誰もが憎む薬のほうが求められます。価値が状況で完全に入れ替わるわけです。そして人材の話に転じます。決めつけたまま急場で人を使うのは悲しい、と。前に出てきた、真珠より糠という段と同じ主張です。決めつけたまま急場で人を使うな、という主張です。
この章句が説くこと
薬状況価値膠柱急場
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