抱朴子外篇 / 廣譬
抱樸子曰:無當之玉碗,不如全用之埏埴;寸裂之錦黻,未若堅完之韋布。故夏姬之無禮,不如孤逐之皎潔;富貴之多罪,不如貧賤之履道。
新字:抱樸子曰:無当之玉碗,不如全用之埏埴;寸裂之錦黻,未若堅完之韋布。故夏姫之無礼,不如孤逐之皎潔;富貴之多罪,不如貧賤之履道。
書き下し
抱朴子曰く、当たる無き玉碗は、全用の埏埴に如かず、寸裂の錦黻は、堅完の韋布に若かず。故に夏姫の無礼は、孤逐の皎潔に如かず、富貴の多罪は、貧賤の履道に如かず。
現代語訳
抱朴子は言う。底のない玉の碗は、全く使える素焼きの器に及ばず、寸断された錦の礼服は、丈夫で完全な革や布に及ばない。だから夏姫の無礼は、孤立し追放されても清らかな者に及ばず、富貴にあって罪の多いのは、貧賤にあって道を履むのに及ばない。
解説
高価でも使えない物は、安くて使える物に劣る、という段です。底のない玉の碗は素焼きの器に及ばず、裂けた錦は丈夫な麻布に及びません。「富貴の多罪は、貧賤の履道に如かず」。人にも同じ物差しを当て、地位や富があっても罪が多いより、貧しくても道を歩むほうがよいと述べます。見栄えや肩書、スペックの高さより、実際に役に立つかと誠実さの有無を取る基準です。採用や取引先選びでも、立派な経歴や華やかな提案より、約束を守り使える相手を選ぶほうが、結果として傷が浅くて済みます。
この章句が説くこと
全用の埏埴に如かず堅完の韋布に若かず貧賤の履道に如かず実質誠実
関連する章句
-
言志四録・言志晩録 第二百十条 真偽は誣ふべからず真偽は誣ふべからず。虚実は欺くべからず。邪正は瞞くべからず。
-
『酔古堂剣掃』集醒・事は脫空を忌み人は落套を怕る事は脫空を忌み、人は落套を怕る。
-
言志四録・言志晩録 第百八十三条 寧ろ実響有るも虚声有る勿れ名誉は、人の争ひ求むる所にして、又人の群がり毀る所なり。君子は只是れ一実のみ。寧ろ実響有るも、虚声有ること勿れ。
-
『韓非子』解老第二十所謂「彼を去りて此れを取る」とは、貌・径絶を去りて縁理・好情実を取るなり。故に曰く、「彼を去りて此れを取る」と。
-
論語・顔淵篇子張問う、「士は何如なれば斯れ之を達と謂う可き。」子曰く、「何ぞや、爾の所謂達なる者は。」子張対えて曰く、「邦に在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ。」子曰く、「是れ聞なり、達に非ざるなり。夫れ達なる者は、質直にして義を好み、言を察して色を観、慮りて以て人に下る。邦に在りても必ず達し、家に在りても必ず達す。夫れ聞なる者は、色に仁を取りて行いは違い、之に居りて疑わず。邦に在りても必ず聞こえ、家に在りても必ず聞こゆ。」
-
尚書・周官明王の政を立つるや、其の官のみならず、其の人のみす。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る