抱朴子外篇 / 博喻
抱樸子曰:否泰系乎運,窮達不足以論士;得失在乎適,營辱不可以量才。時命不可以力求,遭遇不可以智違。故尚父者,老婦之棄夫;韓信者,乞食之餓子;蕭公者,斗筲之吏;黥布者,刑黜之亡隸。當其行龍姿於虺蜥之中,卷鳳翅乎斥鷃之群,則彼龍後,謂為其倫。
新字:抱樸子曰:否泰系乎運,窮達不足以論士;得失在乎適,営辱不可以量才。時命不可以力求,遭遇不可以智違。故尚父者,老婦之棄夫;韓信者,乞食之餓子;蕭公者,斗筲之吏;黥布者,刑黜之亡隸。当其行竜姿於虺蜥之中,巻鳳翅乎斥鷃之群,則彼竜後,謂為其倫。
書き下し
抱朴子曰く、否泰は運に係り、窮達は以て士を論ずるに足らず、得失は適に在り、栄辱は以て才を量る可からず。時命は力を以て求む可からず、遭遇は智を以て違う可からず。故に尚父は、老婦の棄夫、韓信は、乞食の餓子、蕭公は、斗筲の吏、黥布は、刑黜の亡隸なり。其の龍姿を虺蜥の中に行い、鳳翅を斥鷃の群に巻くに当たりては、則ち彼は龍の後にして、其の倫と為すと謂う。
現代語訳
抱朴子は言う。塞がることと通ずることは運に関わり、窮することと達することは士を論ずる材料にならず、得ることと失うことは巡り合わせによるのであり、栄誉と恥辱で才能を量ることはできない。時の命は力で求められず、巡り合いは知恵で避けられない。だから尚父(太公望)は老いた妻に捨てられた夫、韓信は物乞いをする飢えた者、蕭公は取るに足らぬ小役人、黥布は刑を受けて逃げた奴隷であった。龍の姿を蛇やトカゲの中で振る舞い、鳳の翼を小雀の群れにたたんでいたときには、人々は龍の後ろに付く者たちを、その同類と見なした。
解説
窮達や栄辱で人の才は測れない、と断じる段です。「時命は力を以て求む可からず」と、巡り合わせは努力では動かせないと言います。例は太公望が妻に捨てられ、韓信が飢え、蕭何が下級役人、黥布が罪人の奴隷だった時期です。大成した人の来歴に、低い境遇は珍しくありません。今の地位や肩書が低い部下を、将来性まで低いと決めてかからない。逆に、今の高い地位が才の証とも限らない。評価は現在の位置でなく、その人の中身と伸びしろに向ける必要があります。
この章句が説くこと
時命は力を以て求む可からず窮達は以て士を論ずるに足らず乞食の餓子時運将来
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