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抱朴子外篇 / 博喻

抱樸子曰:至大有所不能變,極細有所不能奪。故冰霜肅殺,不能雕菽麥之茂;熾暑郁陰,不能消雪山之凍;飈風蕩海,不能使潛泉揚波;春澤榮物,不能使枯卉發華。抱樸子曰:泣血之寶,仰石監石諸以摛景,沈閭孟勞,須楚砥以斂鋒,騮馬日待王孫而致遠,令質俟櫽括而成德。

新字:抱樸子曰:至大有所不能変,極細有所不能奪。故冰霜粛殺,不能雕菽麦之茂;熾暑郁陰,不能消雪山之凍;飈風蕩海,不能使潜泉揚波;春沢栄物,不能使枯卉発華。抱樸子曰:泣血之宝,仰石監石諸以摛景,沈閭孟労,須楚砥以斂鋒,騮馬日待王孫而致遠,令質俟櫽括而成徳。

書き下し

抱朴子曰く、至大にも変ずる能わざる所有り、極細にも奪う能わざる所有り。故に冰霜の肅殺も、菽麥の茂を雕ます能わず、熾暑・郁陰も、雪山の凍を消す能わず、飈風の海を蕩かすも、潛泉をして波を揚げしむる能わず、春澤の物を榮えしむるも、枯卉をして華を發せしむる能わず。抱朴子曰く、泣血の寶は、仰石・監石諸に待ちて以て景を摛べ、沈閭・孟勞は、楚砥を須ちて以て鋒を斂め、騮馬は日に王孫を待ちて以て遠きを致し、質をして櫽括を俟ちて徳を成さしむ。

現代語訳

抱朴子は言う。最も大きなものにも変えられないものがあり、極めて細かなものにも奪えないものがある。だから氷や霜のきびしさも、豆や麦の茂りを枯らすことはできず、厳しい暑さや重く垂れこめる陰も、雪山の凍りを溶かすことはできず、疾風が海を揺らしても、深い底の泉に波を立てさせることはできず、春の恵みが万物を栄えさせても、枯れた草に花を咲かせることはできない。抱朴子は言う。血の涙を流して得た宝玉は、仰石・監石諸(砥石の類か)に頼って光を広げ、沈閭・孟勞の名剣は、楚の砥石を待って切っ先を整え、駿馬は日々王孫(馬を見る人か)を待って遠くへ至り、生まれつきの質も矯め直しを待って徳を成す。

解説

前半は、最大のものにも変えられないものがあり、最小のものにも奪えないものがあるという限界論です。「冰霜の肅殺も、菽麥の茂を雕ます能わず」と、霜も麦の生命力そのものは枯らしません。後半は一転して、素質ある者にも磨く道具が要ると述べます。名剣は砥石、名馬は馭者、人の質は矯め直しの手を待つ。素質と環境のどちらかで片付けず、持ち前を認めたうえで磨く手を入れよ、という両面の話です。部下育成でも、天分任せにも指導万能論にも寄らない構えが示されています。

この章句が説くこと

至大にも変ずる能わざる所有り楚砥を須ちて以て鋒を斂め質をして櫽括を俟ちて徳を成さしむ素質研磨

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