抱朴子外篇 / 博喻
抱樸子曰:沖飈焚輪,原火所以增熾也,而螢燭值之而反滅;甘雨膏澤,嘉生所以繁榮也,而枯木得之以速朽;朱輪華轂,俊民之大寶也,而負乘竊之而召禍;鼎食萬鍾,宣力之弘報也,而近才授之以覆食束。
新字:抱樸子曰:沖飈焚輪,原火所以增熾也,而蛍燭値之而反滅;甘雨膏沢,嘉生所以繁栄也,而枯木得之以速朽;朱輪華轂,俊民之大宝也,而負乗窃之而召禍;鼎食万鍾,宣力之弘報也,而近才授之以覆食束。
書き下し
抱朴子曰く、沖飈の焚輪は、原火の増して熾んなる所以なるも、螢燭は之に値えば反って滅す、甘雨の膏沢は、嘉生の繁栄する所以なるも、枯木は之を得て以て速やかに朽つ、朱輪華轂は、俊民の大宝なるも、負乗は之を竊みて禍を召く、鼎食万鍾は、力を宣ぶるの弘報なるも、近才に之を授くれば以て餗を覆す。
現代語訳
抱朴子は言う。突風の巻き起こす焚輪は、野火をいっそう燃え上がらせるものだが、蛍の火や小さな灯はこれに出会えばかえって消える。恵みの雨の潤いは、よい作物を茂らせるものだが、枯れ木はこれを得てかえって速やかに朽ちる。朱塗りの車や飾った轂は、優れた人の大きな宝だが、分不相応な者がこれを盗めば禍を招く。鼎を並べる万鍾の禄は、力を尽くした者への大きな報いだが、浅い才の者に授ければ鼎の中身をひっくり返す。
解説
強風は野火を勢いづかせますが、蛍の灯は吹き消します。恵みの雨は作物を育てますが、枯れ木はそれで早く朽ちます。同じ恩恵でも受ける器で逆の結果になる、という段です。後半では朱塗りの車や万鍾の禄も、才の足りない者に与えれば災いを招くと言います。「近才に之を授くれば以て餗を覆す」。権限や報酬は、受け皿に合わせて渡さないと本人を潰します。抜擢や昇給の前に、支えと段階を設計しておく視点です。
この章句が説くこと
沖飈の焚輪は枯木は之を得て以て速やかに朽つ負乗は之を窃みて禍を召く近才に之を授くれば以て餗を覆す抜擢器
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