抱朴子外篇 / 博喻
抱樸子曰:乾坤陶育,而庶物不識其惠者,由乎其益無方也;大人神化,而群細不覺其施者,由乎治之於未有也。故可知者小也,易料者少也。
新字:抱樸子曰:乾坤陶育,而庶物不識其恵者,由乎其益無方也;大人神化,而群細不覚其施者,由乎治之於未有也。故可知者小也,易料者少也。
書き下し
抱朴子曰く、乾坤陶育して、庶物の其の恵みを識らざるは、其の益の方無きに由るなり、大人神化して、群細の其の施しを覚らざるは、之を未だ有らざるに治むるに由るなり。故に知る可き者は小なり、料り易き者は少なし。
現代語訳
抱朴子は言う。天地が万物を陶冶し育てても、多くの物がその恵みを知らないのは、その益が一つの方向に限られないからであり、大人が神のような感化を及ぼしても、多くの小人がその施しに気づかないのは、まだ起こらないうちに治めるからである。だから知ることのできるものは小さく、見積もりやすいものは少ない。
解説
天地は万物を育てながら恵みに気づかれず、大人の感化も小人には見えない、と言います。理由は、恵みが一つの方向に限られないことと、問題が起こる前に治めていることです。「之を未だ有らざるに治むる」。成果が見えないのは、何も起きなかったからだ、という逆説です。リスク管理や人材育成など、予防の仕事は評価されにくいものです。それを見える形で記録し、評価に乗せる工夫が必要になります。見えるものは小さい、という最後の一文も自戒として読めます。
この章句が説くこと
乾坤陶育して之を未だ有らざるに治むるに由るなり知る可き者は小なり料り易き者は少なし予防貢献
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