抱朴子外篇 / 博喻
抱樸子曰:路人不能挽勁命中而識養由之射,顏子不能控轡振策而知東野之敗。故有不能下棋而經目識勝負,不能徽弦而過耳解鄭雅者。
新字:抱樸子曰:路人不能挽勁命中而識養由之射,顔子不能控轡振策而知東野之敗。故有不能下棋而経目識勝負,不能徽弦而過耳解鄭雅者。
書き下し
抱朴子曰く、路人は勁きを挽き中に命ずる能わずして養由の射を識り、顔子は轡を控え策を振るう能わずして東野の敗れを知る。故に棋を下す能わずして目を経て勝負を識り、弦を徽す能わずして耳を過ぎて鄭雅を解する者有り。
現代語訳
抱朴子は言う。道行く人は、強い弓を引いて的に当てることができないのに養由の射の見事さを知り、顔子は、手綱を取り鞭を振るうことができないのに東野の失敗を知った。だから碁を打てないのに目にして勝負が分かり、弦を弾けないのに耳に通して鄭の音と雅楽を聞き分ける者がいる。
解説
自分ができなくても優劣を見分けられる人がいる、という段です。弓を引けない通行人が名手の射を知り、碁を打てない者が盤面を見て勝負が分かる。「弦を徽す能わずして耳を過ぎて鄭雅を解する」。評価する目と実行する腕は別の能力だ、と言います。管理職が現場の達人になれなくても、良し悪しを見分ける目を磨くことが仕事になります。逆に、自分でできないから評価できない、と引き下がる必要もありません。
この章句が説くこと
養由の射を識り棋を下す能わずして目を経て勝負を識り耳を過ぎて鄭雅を解する者有り目利き評価実行
関連する章句
-
『塩鉄論』利議篇大夫曰く、色厲しくして內荏なるは、真を亂す者なり。文表にして枲裏なるは、實を亂す者なり。文學は裒衣博帶にして、周公の服を竊み、鞠躬踧踖して、仲尼の容を竊み、議論稱誦して、商・賜の辭を竊み、刺譏言治して、管・晏の才を竊む。心は卿相を卑しみ、志は萬乘を小とす。之に政を授くるに及びて、昏亂して治まらず。故に言を以て人を舉ぐるは、毛を以て馬を相るが若し。此れ其の多く舉に稱わざる所以なり。詔策に曰く、『朕宇內の士を嘉す、故に詳らかに四方の豪俊文學博習の士を延き、官祿を超遷す』と。言う者は必ずしも德有らず、何ぞや。之を言うは易くして之を行うは難ければなり。其の車を舍てて其の牛を識る有り、其の言わずして多く事を成すを貴べばなり。吳鐸は其の舌を以て自ら破れ、主父偃は其の舌を以て自ら殺す。鶡鴠の夜鳴くは、明に益無く、主父の鴟のごとく鳴くは、死に益無し。有司の利を成さんと欲するに非ず、文學の舊術に桎梏せられ、間言に牽かるる者なり。
-
『正法眼蔵随聞記』巻三作すことの難きにはあらず、能くすることの難きなり、出離得道の行は人ごとに心にかけたるには似たれとも、能くする人まれなればなり、生死事大なり、無常迅速なり、心を緩くすることなかれ、世を捨ては実とに世を捨つべきなり、仮名はいかにてもありなんとおぼゆるなり、
-
論語・公冶長篇子路聞くこと有りて、未だ之を行うこと能わざれば、唯だ聞くこと有らんことを恐る。
-
論語・子罕篇子曰く、之に語げて惰らざる者は、其れ回なるか。
-
『後世への最大遺物』第二回・人に頼らず天と己にたよるその考えを持ったばかりでなく、その考えを実行した。その話は長うございますけれども、ついには何万石という村々を改良して、自分の身をことごとく人のために使った。旧幕の末路にあたって、経済上、農業改良上について非常の功労のあった人であります。それでわれわれもそういう人の生涯、二宮金次郎先生のような人の生涯を見ますときに、「もしあの人にもああいうことができたならば、私にもできないことはない」という考えを起します。普通の考えではありますけれども、非常に価値のある考えであります。それで人に頼らずとも、われわれが神にたより己にたよって宇宙の法則に従えば、この世界はわれわれの望むとおりになり、この世界にわが考えを行うことができるという感覚が起ってくる。
-
『後世への最大遺物』第二回・己の信ずることを実行する者己の信ずることを実行するものが真面目なる信者です。ただただ壮言大語することは誰にもできます。いくら神学を研究しても、いくら哲学書を読みても、われわれの信じた主義を真面目に実行するところの精神がありませぬあいだは、神はわれわれにとって異邦人であります。それゆえに、われわれは神がわれわれに知らしたことをそのまま実行いたさなければなりません。こういたさねばならぬと思うたことは、われわれはことごとく実行しなければならない。もしわれわれが、正義はついに勝つものにして不義はついに負けるものであるということを世間に発表するものであるならば、そのとおりにわれわれは実行しなければならない。これを称して真面目なる信徒と申すのです。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る