後世への最大遺物 / 第二回・人に頼らず天と己にたよる
その考えを持ったばかりでなく、その考えを実行した。その話は長うございますけれども、ついには何万石という村々を改良して自分の身をことごとく人のために使った。旧幕の末路にあたって経済上、農業改良上について非常の功労のあった人であります。それでわれわれもそういう人の生涯、二宮金次郎先生のような人の生涯を見ますときに、「もしあの人にもアアいうことができたならば私にもできないことはない」という考えを起します。普通の考えではありますけれども非常に価値のある考えであります。それで人に頼らずともわれわれが神にたより己にたよって宇宙の法則に従えば、この世界はわれわれの望むとおりになり、この世界にわが考えを行うことができるという感覚が起ってくる。
書き下し
その考えを持ったばかりでなく、その考えを実行した。その話は長うございますけれども、ついには何万石という村々を改良して、自分の身をことごとく人のために使った。旧幕の末路にあたって、経済上、農業改良上について非常の功労のあった人であります。それでわれわれもそういう人の生涯、二宮金次郎先生のような人の生涯を見ますときに、「もしあの人にもああいうことができたならば、私にもできないことはない」という考えを起します。普通の考えではありますけれども、非常に価値のある考えであります。それで人に頼らずとも、われわれが神にたより己にたよって宇宙の法則に従えば、この世界はわれわれの望むとおりになり、この世界にわが考えを行うことができるという感覚が起ってくる。
現代語訳
その考えを持っただけでなく、その考えを実行しました。話は長いのですが、ついには何万石という村々を立て直し、自分の身をすべて人のために使いました。幕府の末期にあたって、経済と農業改良について非常な功績のあった人です。ですから私たちも、そういう人の生涯、二宮金次郎先生のような人の生涯を見るとき、もしあの人にああいうことができたのなら、自分にもできないことはない、という考えを起こします。ありふれた考えですが、非常に価値のある考えです。人に頼らなくても、神に頼り自分に頼って宇宙の法則に従えば、この世界は自分の望むとおりになり、この世界に自分の考えを行うことができる、という感覚が起こってきます。
解説
この章句が説くこと
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『後世への最大遺物』第二回・己の信ずることを実行する者己の信ずることを実行するものが真面目なる信者です。ただただ壮言大語することは誰にもできます。いくら神学を研究しても、いくら哲学書を読みても、われわれの信じた主義を真面目に実行するところの精神がありませぬあいだは、神はわれわれにとって異邦人であります。それゆえに、われわれは神がわれわれに知らしたことをそのまま実行いたさなければなりません。こういたさねばならぬと思うたことは、われわれはことごとく実行しなければならない。もしわれわれが、正義はついに勝つものにして不義はついに負けるものであるということを世間に発表するものであるならば、そのとおりにわれわれは実行しなければならない。これを称して真面目なる信徒と申すのです。
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