抱朴子外篇 / 博喻
抱樸子曰:忍痛苦之藥石者,所以除伐命之疾;嬰甲胄之重冷者,所以捍鋒鏑之集;潔操履之拘苦者,所以全拔萃之業;納拂心之至言者,所以無易方之惑也。
新字:抱樸子曰:忍痛苦之薬石者,所以除伐命之疾;嬰甲胄之重冷者,所以捍鋒鏑之集;潔操履之拘苦者,所以全抜萃之業;納払心之至言者,所以無易方之惑也。
書き下し
抱朴子曰く、痛苦の薬石を忍ぶ者は、命を伐つの疾を除く所以、甲冑の重冷を嬰う者は、鋒鏑の集まるを捍ぐ所以、操履の拘苦を潔くする者は、抜萃の業を全うする所以、心に拂う至言を納るる者は、方を易うるの惑い無き所以なり。
現代語訳
抱朴子は言う。痛みと苦しみのある薬や石の針に耐える者は、命を損なう病を除くためであり、甲冑の重さと冷たさを身に着ける者は、刃や矢が集まるのを防ぐためであり、身持ちを清く保つ窮屈さと苦しみに耐える者は、抜きんでた事業を全うするためであり、心に逆らう至当な言葉を受け入れる者は、進む方向を取り違える惑いをなくすためである。
解説
薬の苦しみ、甲冑の重み、身持ちの窮屈さ、耳の痛い至言。四つの不快に耐える理由を、それぞれ病を除く、矢を防ぐ、事業を全うする、方向を誤らないため、と並べます。不快に耐えることは自虐ではなく、目的のための手段だと言います。最後の「心に拂う至言を納るる者は、方を易うるの惑い無き所以なり」が、人の上に立つ者に効く一句です。気持ちのよい意見ばかり集めていると、進路を誤る。耳の痛い助言を、あえて受け取る習慣は、経営の保険になります。
この章句が説くこと
心に払う至言を納るる者は命を伐つの疾を除く所以抜萃の業を全うする所以至言忍耐
関連する章句
-
抱朴子外篇・博喻抱朴子曰く、四聡広く辟けば、則ち羲和景を納れ、万仞己を虚しくすれば、則ち行潦交ごも赴く。故に博辨の道弘ければ、則ち異聞畢く集まり、庭燎の耀輝けば、則ち奇士角を叩き、誹謗の木設くれば、則ち過ち有らば必ず知り、敢諫の鼓懸くれば、則ち直言必ず献ぜらる。
-
抱朴子外篇・博喻抱朴子曰く、必死の病には、苦口の薬を下さず、朽爛の材は、雕鏤の飾を受けず。是を以て比干は躬を匪にして、心を精忠に剖かれ、田豊は微を見て、言の直なるに夷戮せらる。
-
抱朴子外篇・博喻抱朴子曰く、鸗駮は険峻の端に危苦するも、口弗守の役を楽しまず、吉光は冰霜の野に飢渇するも、犠牲の鮑を願わず、孤竹は粒を絶つを以て鹿台の富に易えず、子廉は困匱を以て銅山の豊かさに貿えず。
-
抱朴子外篇・博喻抱朴子曰く、謗讟の言は巧言を以て弭む可からず、実恨は虚事を以て釈く可からず。釈くこと其の道に非ず、弭むること理に由らざるは、猶お氷を懐きて以て冷を遣り、炉を重ねて以て暑を却け、光を逐いて以て影を逃れ、舟を穿ちて以て漏を止むるがごとし。
-
抱朴子外篇・博喻抱朴子曰く、意を丘園に得る者は、身は否なるも神は泰く、己を役して以て物を恤う者は、形は逸なるも心は労す。故に甕を抱きて園に灌ぐ者は、台宰より歓び、嘔餐して薇を茹らう者は、鼎食より美とし、策に仗りて豳を去る者は、形は月の臘に居るが如く、夜以て旦を待つ者は、勤憂して命を損なう。
-
抱朴子外篇・博喻抱朴子曰く、郢人は下里の淫哇を美とし、六茎の和音を薄んず、庸夫は耳を悦ばす華誉を好み、行を利する良規を悪む。故に宋玉は其の延霊の精声を舎て、智士は其の独見の遠謀を招く。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る