抱朴子外篇 / 博喻
抱樸子曰:徇名者不以授命為難,重身者不以近欲累情。是以紀信甘灰糜而不恨,楊朱同一毛於連城。
書き下し
抱朴子曰く、名に徇う者は命を授くるを以て難しと為さず、身を重んずる者は近欲を以て情を累わさず。是を以て紀信は灰糜を甘んじて恨みず、楊朱は一毛を連城と同じくす。
現代語訳
抱朴子は言う。名を求めて殉ずる者は、命を差し出すことを難しいとは思わず、わが身を重んずる者は、目先の欲で心を煩わせない。だから紀信は灰になり粉となるのを甘んじて恨まず、楊朱は一本の毛を連なる城と同じ値だとした。
解説
名のために命を捨てる者と、身を大事にして欲に動かされない者を、正反対の例で並べています。紀信は灰となるのを甘んじて恨まず、楊朱は一毛を連城と同じくした、と原文は短く言うだけで、評価は添えません。二つの生き方が、それぞれの価値観の徹底だという点が読みどころです。何を一番大きいと見るかで、人の動き方は決まる。部下の動機が名誉なのか安定なのかを見誤ると、同じ指示でもまるで違う反応が返ってきます。動機の置き所を知ることが、任せ方の入口になります。
この章句が説くこと
名に徇う者は命を授くるを以て難しと為さず身を重んずる者は近欲を以て情を累わさず紀信は灰糜を甘んじて恨みず楊朱は一毛を連城と同じくす名誉動機
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