抱朴子外篇 / 百里
抱樸子曰:三臺九列,坐而論道;州牧郡守,操綱舉領。其官益大,其事愈優,煩劇所鍾,其唯百里。眾役於是乎出,誅求之所叢赴,牧守雖賢而令長不堪,則國事不舉,萬機有闕,其損敗豈徒止乎一境而已哉!令長尤宜得才,乃急於臺省之官也。用之不得其人,其故無他也,在乎至公之情不行,而任私之意不違也。或父兄貴重,而子弟以聞望見選;或高人屬托,而凡品以無能見敘;或是所宿念,或親戚匪他,知其不可而能用此等。亦時有快者,不為盡無所中也。要於不精者率多矣。其能自效立,勉修清約,夙夜在公,以求眾譽,懼風績之不美,恥知己之謬舉,鮮矣!庸猥之徒,器小誌近,冒於貨賄,唯富是圖,肆情恣欲,無止無足。在所司官,知其有足,賴主人舉劾彈糾,終於當解,慮其結怨,反見中傷,不敢犯觸,而恣其貪殘矣。如此,黎庶亦安得不困毒而離判!離判者眾,則不得屯聚而為群盜矣。
新字:抱樸子曰:三台九列,坐而論道;州牧郡守,操綱舉領。其官益大,其事愈優,煩劇所鍾,其唯百里。衆役於是乎出,誅求之所叢赴,牧守雖賢而令長不堪,則国事不舉,万機有闕,其損敗豈徒止乎一境而已哉!令長尤宜得才,乃急於台省之官也。用之不得其人,其故無他也,在乎至公之情不行,而任私之意不違也。或父兄貴重,而子弟以聞望見選;或高人属托,而凡品以無能見敘;或是所宿念,或親戚匪他,知其不可而能用此等。亦時有快者,不為尽無所中也。要於不精者率多矣。其能自効立,勉修清約,夙夜在公,以求衆誉,懼風績之不美,恥知己之謬舉,鮮矣!庸猥之徒,器小誌近,冒於貨賄,唯富是図,肆情恣欲,無止無足。在所司官,知其有足,頼主人舉劾弾糾,終於当解,慮其結怨,反見中傷,不敢犯触,而恣其貪残矣。如此,黎庶亦安得不困毒而離判!離判者衆,則不得屯聚而為群盗矣。
書き下し
抱樸子曰く、三台九列は坐して道を論じ、州牧郡守は綱を操り領を挙ぐ。其の官は益々大にして、其の事は愈々優なり。煩劇の鍾まる所は、其れ唯だ百里のみ。衆役は是に於いて出で、誅求の叢まり赴く所なり。牧守は賢なりと雖も令長堪えざれば、則ち国事挙がらず、万機に闕有り。其の損敗は豈に徒だ一境に止まるのみならんや。令長は尤も宜しく才を得べく、台省の官よりも急なり。之を用いて其の人を得ざるは、其の故は他無く、至公の情行われずして、任私の意違わざるに在るなり。或いは父兄貴重にして、子弟は聞望を以て選ばれ、或いは高人の属托あり、凡品は無能を以て叙せられ、或いは是れ宿念する所、或いは親戚匪他、其の不可を知れども能く此れ等を用う。亦た時に快き者有り、尽く中る所無きと為さず。要するに精ならざるは率ね多し。其の能く自ら効し立ち、勉めて清約を修め、夙夜公に在り、以て衆誉を求め、風績の美ならざらんことを懼れ、知己の謬挙を恥ずる者は、鮮し。庸猥の徒は、器小さく志近く、貨賄を冒し、唯だ富をのみ是れ図り、情を肆にし欲を恣にして、止まる無く足る無し。所司の官に在りて、其の足る有るを知るも、主人の挙劾弾糾に頼り、終に当に解くべし、其の怨みを結ぶを慮り、反って中傷せられんことを恐れ、敢えて犯触せず、而して其の貪残を恣にす。此くの如くんば、黎庶も亦た安んぞ困毒して離判せざるを得んや。離判する者衆ければ、則ち屯聚して群盗と為らざるを得ず。
現代語訳
抱樸子は言う。三台や九列の高官は座して道を論じ、州牧や郡守は綱を操り領を挙げる。その官は大きくなるほどその事は楽になる。煩わしさや激務が集まるのは、ただ百里(県)の長のところである。多くの役務はここから出て、取り立てが集まるところである。州牧や郡守が賢明でも、県令や県長が任に堪えなければ、国の事は挙がらず、政務に欠けが生じる。その損害は一つの境にとどまるだけではない。県令や県長こそ才ある者を得るべきで、台省の官よりも急務である。これを登用して適任者を得られないのは、理由は他にない。至公の心が行われず、私情に任せる意が改まらないからである。父兄が重んじられているために、その子弟が名声で選ばれ、高名な人の頼みによって、凡庸な者が無能のまま叙任され、かねて目をかけていた者、あるいは親戚のほかでもない者を、不可と知りながら任用する。時にはうまくいく場合もあり、全てが的外れとは限らない。要するに不適任なことが多い。自ら励み、清廉倹約を修め、朝晩公務に勤め、衆人の誉れを求め、その評判の悪化を恐れ、自分の推挙した人の誤りを恥じる者は、少ない。凡庸卑俗な輩は、器が小さく志が近く、賄賂を貪り、ただ富を図り、情欲をほしいままにして、止まる所も満足もない。管轄の官にあっては、その満足を知っていても、主人の弾劾に頼り、結局は解任されるはずなのに、その怨みを買うことを恐れ、かえって中傷されるのを恐れ、手を出せず、貪欲で残酷な振る舞いを許す。このようでは、民も困窮と毒に苦しみ離反しないではいられない。離反する者が多ければ、集まって群盗となるほかない。
解説
この章句が説くこと
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