甲陽軍鑑 / 品第四十三
右三對六人の人陣の時大に嫌ふ人也△陣の時大將崇敬なさるゝ人一對づゝ五對合十人一才覺有りて勘定たけく、能き智惠深く、能く損德の考して理非の二ツには理の方へ近く分別して、藏よく賂ふ人の事、是一對二人也一心すくやかにて、まなこきゝて分別·才覺有て武道にさかしく、よく物いふ人の事一縱ひ無才覺なり共、分別なく共、物いふ事速かになく共、口わろく共、無能なり共、ねてもさめても武道心がくる人ありて左樣のものを大將のみしり給ひ、念比なさるればことくく諸傍輩武篇を心がくる也、
新字:右三対六人の人陣の時大に嫌ふ人也△陣の時大将崇敬なさるゝ人一対づゝ五対合十人一才覚有りて勘定たけく、能き智恵深く、能く損徳の考して理非の二ツには理の方へ近く分別して、蔵よく賂ふ人の事、是一対二人也一心すくやかにて、まなこきゝて分別·才覚有て武道にさかしく、よく物いふ人の事一縦ひ無才覚なり共、分別なく共、物いふ事速かになく共、口わろく共、無能なり共、ねてもさめても武道心がくる人ありて左様のものを大将のみしり給ひ、念比なさるればことくく諸傍輩武篇を心がくる也、
書き下し
右三対六人の人陣の時大に嫌ふ人也△陣の時大将崇敬なさるゝ人一対づゝ五対合十人一才覚有りて勘定たけく、能き智恵深く、能く損徳の考して理非の二ツには理の方へ近く分別して、蔵よく賂ふ人の事、是一対二人也一心すくやかにて、まなこきゝて分別·才覚有て武道にさかしく、よく物いふ人の事一縦ひ無才覚なり共、分別なく共、物いふ事速かになく共、口わろく共、無能なり共、ねてもさめても武道心がくる人ありて左様のものを大将のみしり給ひ、念比なさるればことくく諸傍輩武篇を心がくる也、
現代語訳
右、三対六人の人は陣の時に大いに嫌う人である。陣の時に大将が崇敬なさる人は、一対ずつ五対、合わせて十人。一、才覚があって勘定にたけ、よき智恵が深く、よく損得の考えをして、理非の二つには理のほうへ近く分別して、蔵をよく賄う人の事。これで一対二人なり。一、心すこやかにて眼が利いて、分別・才覚があって武道にさかしく、よく物を言う人の事。一、たとえ才覚がなくとも、分別がなくとも、物を言う事が速やかでなくとも、口が悪くとも、無能であっても、寝ても覚めても武道を心掛ける人がいて、そのような者を大将が見知り給い、懇ろになされれば、ことごとく諸傍輩が武辺を心掛けるのである。
解説
この章句が説くこと
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『甲陽軍鑑』品第四十三是一対二人之人也一他国へはたらきの時、其国の案内能く知たる人の事一諸傍輩にすぐれ、わが主君をよくたつとぶの事、是一対二人なり一物よくしつて、うわつらになく古人の理に徹して唐·日本にて侍手がらのうはさ有様に申人の事一坊主·町人·百姓いづれ成共計策能するものゝ事一是一対二人なり一忍よくする者の事一かねほり、是一対二人也右一二人にてすくなしといへども、
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