抱朴子外篇 / 疾謬
誠知不學之弊,碩儒之貴,所祖習之非,所輕易之謬,然終於迷而不返者,由乎放誕者無損於進趨故也。若高人以格言彈而呵之,有不畏大人而長惡不悛者,下其名品,則宜必懼然冰泮而革面,旋而東走之跡矣。
新字:誠知不学之弊,碩儒之貴,所祖習之非,所軽易之謬,然終於迷而不返者,由乎放誕者無損於進趨故也。若高人以格言弾而呵之,有不畏大人而長悪不悛者,下其名品,則宜必懼然冰泮而革面,旋而東走之跡矣。
書き下し
誠に不学の弊、碩儒の貴、祖習の非、軽易の謬を知れども、然れども終に迷いて返らざるは、放誕なる者は進趨に損なうこと無きに由る故なり。若し高人の格言を以て弾じて之を呵むれば、大人を畏れずして悪を長じて悛めざる者有り、其の名品を下せば、則ち宜しく必ず懼然として氷泮け、面を革め、旋って東走の跡を返すべし。
現代語訳
学ばないことの弊害、碩学の尊さ、受け継いだ習いの誤り、軽んじ見下す過ちを、実のところ知っていながら、最後まで迷って引き返さないのは、放縦な者にとって、出世の妨げにならないからである。もし高潔な人が格言をもって彼らを弾じ叱れば、大人を畏れず悪をつのらせて改めない者もいるが、彼らの名声の品位を下げることにすれば、必ず恐れおののいて氷が解けるように態度を改め、顔を入れ替え、東へ走った足跡を引き返すに違いない。
解説
放縦な者が改めないのは、自分の誤りを知らないからではなく、出世に響かないからだと葛洪は見ます。学ばなくても、礼を欠いても、損をしないなら改める動機がない。そこで有効なのは、説教ではなく評価を動かすことだと言います。人物の「名品」を下げれば、恐れて態度を変えるはずだと。これは人事の核心をつく指摘で、行動規範は、評価の仕組みが支えて初めて守られます。言葉で戒めても、昇進や報酬が変わらなければ誰も動きません。何が評価され、何が評価されないかを、組織がどう示しているかを問う一節です。
この章句が説くこと
進趨に損なうこと無きに由る名品を下せば則ち宜しく必ず懼然として氷泮け評価人事動機
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