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抱朴子外篇 / 酒誡

夫風經府藏,使人惚怳,及其劇者,自傷自虞。或遇斯疾,莫不憂懼,吞苦忍痛,欲其速愈。至於醉之病性,何異於茲。而獨居密以逃風,不能割情以節酒。若畏酒如畏風,憎醉如憎病,則荒沈之咎塞,而流連之失止矣。夫風之為疾,猶展攻治,酒之為變,在乎呼吸。及其悶亂,若存若亡,視泰山如彈丸,見滄海如盤盂,仰嚾天墮,俯呼地陷,臥待虎狼,投井赴火,而不謂惡也。夫用身之如此,亦安能惜敬恭之禮,護喜怒之失哉!

新字:夫風経府蔵,使人惚怳,及其劇者,自傷自虞。或遇斯疾,莫不憂懼,呑苦忍痛,欲其速愈。至於酔之病性,何異於茲。而独居密以逃風,不能割情以節酒。若畏酒如畏風,憎酔如憎病,則荒沈之咎塞,而流連之失止矣。夫風之為疾,猶展攻治,酒之為変,在乎呼吸。及其悶乱,若存若亡,視泰山如弾丸,見滄海如盤盂,仰嚾天堕,俯呼地陥,臥待虎狼,投井赴火,而不謂悪也。夫用身之如此,亦安能惜敬恭之礼,護喜怒之失哉!

書き下し

夫れ風の府藏を経るや、人をして惚怳たらしめ、其の劇しきに及べば、自ら傷つき自ら虞る。或いは斯の疾に遇えば、憂懼せざる莫く、苦しみを吞み痛みを忍び、其の速やかに愈えんことを欲す。醉いの性を病ましむるに至りては、何ぞ茲に異ならん。而るに独り居り密にして以て風を逃れ、情を割きて以て酒を節する能わず。若し酒を畏るること風を畏るるが如く、醉いを憎むこと病を憎むが如くならば、則ち荒沈の咎塞がり、流連の失止まん。夫れ風の疾たる、猶お攻治を展ぶ。酒の変たる、呼吸に在り。其の悶乱に及べば、存するが若く亡きが若く、泰山を視ること弾丸の如く、滄海を見ること盤盂の如く、仰ぎて天の墮つるを嚾び、俯して地の陥るを呼び、臥して虎狼を待ち、井に投じ火に赴きて、悪と謂わず。夫れ身を用うること此くの如くんば、亦安んぞ能く敬恭の礼を惜しみ、喜怒の失を護らんや。

現代語訳

そもそも風の病が内臓を巡ると、人はぼんやりとし、重くなれば自ら傷つき自ら恐れる。この病に遭えば、憂え恐れない者はなく、苦しみを呑み痛みを耐えて、早く治ることを望む。酔いが本性を病ませることは、これと何が違うのか。それなのに風を避けるためには一人こもって隠れるのに、情を断って酒を節することはできない。もし酒を風のように恐れ、酔いを病のように憎むならば、荒れ沈む咎は塞がり、入り浸る失敗は止まるであろう。風の病は、まだ治療を施す余地がある。酒がもたらす変化は、一呼吸のうちにある。その悶え乱れるに及べば、生きているようで死んでいるようで、泰山を弾丸のように見、大海を盤や鉢のように見、仰いで天が落ちると叫び、俯して地が陥ると叫び、横たわって虎や狼を待ち、井戸に身を投げ火に飛び込んでも悪いと思わない。身をこのように扱うようでは、どうして敬い慎む礼を惜しみ、喜怒の過ちを守れようか。

解説

酔いを病気に喩えて、扱いの落差を突く段です。風の病を恐れ、人は閉じこもって避けるのに、「酒を節する能わず」。もし「酒を畏るること風を畏るるが如く」できれば荒沈の咎は塞がると言います。さらに風は治療の間があるが、酒の変化は「呼吸に在り」、つまり一瞬で起こると指摘します。泰山を弾丸、滄海を盤盂と見る誇張が示すのは、酔うと自分の状態を測る物差しそのものが壊れるという点です。リスクを避けるために、事後の対処より入口の手前で線を引く。この章は、そうした線引きの根拠を、病への日常の用心と並べて説いています。

この章句が説くこと

酒を畏るること風を畏るるが如く酒の変たる呼吸に在り泰山を視ること弾丸の如く予防リスク

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