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抱朴子外篇 / 用刑

或曰:「然則刑罰果所以助教興善,式曷軌忒也。若夫古之肉刑,亦可復與?」抱朴子曰:「曷為而不可哉!昔周用肉刑,積祀七百。漢氏廢之,年代不如。至於改以鞭笞,大多死者。外有輕刑之名,內有殺人之實也。及於犯罪,上不足以至死,則其下唯有徒謫鞭杖,或遇赦令,則身無損;且髡其更生之發,撾其方愈之創,殊不足以懲次死之罪。今除肉刑,則死罪之下無復中刑在其間,而次死罪不得不止於徒謫鞭杖,是輕重不得適也。又犯罪者希而時有耳,至於殺之則恨重,而鞭之則恨輕,犯此者為多。今不用肉刑,是次死之罪,常不見治也。

新字:或曰:「然則刑罰果所以助教興善,式曷軌忒也。若夫古之肉刑,亦可復与?」抱朴子曰:「曷為而不可哉!昔周用肉刑,積祀七百。漢氏廃之,年代不如。至於改以鞭笞,大多死者。外有軽刑之名,内有殺人之実也。及於犯罪,上不足以至死,則其下唯有徒謫鞭杖,或遇赦令,則身無損;且髡其更生之発,撾其方愈之創,殊不足以懲次死之罪。今除肉刑,則死罪之下無復中刑在其間,而次死罪不得不止於徒謫鞭杖,是軽重不得適也。又犯罪者希而時有耳,至於殺之則恨重,而鞭之則恨軽,犯此者為多。今不用肉刑,是次死之罪,常不見治也。

書き下し

或るひと曰く、「然らば則ち刑罰は果たして教えを助け善を興す所以なり、式て軌忒を曷くせん。若し夫の古の肉刑の如きは、亦た復す可けんや」と。抱朴子曰く、「曷為れぞ不可ならんや。昔、周は肉刑を用い、祀を積むこと七百。漢氏は之を廃し、年代は如かず。改むるに鞭笞を以てするに至りて、大多く死する者あり。外には軽刑の名有り、内には殺人の実有るなり。罪を犯すに及びて、上は以て死に至るに足らざれば、則ち其の下は唯だ徒謫・鞭杖有るのみ。或いは赦令に遇えば、則ち身に損無し。且つ其の更生の髪を髡り、其の方に愈えんとするの創を撾つも、殊に以て死に次ぐの罪を懲らすに足らず。今肉刑を除けば、則ち死罪の下に復た中刑の其の間に在る無く、而して死に次ぐの罪は徒謫・鞭杖に止まらざるを得ず、是れ軽重の適を得ざるなり。又犯罪する者は希にして時に有るのみなるも、之を殺すに至りては則ち重きを恨み、而して之を鞭うては則ち軽きを恨む、此を犯す者を多しと為す。今肉刑を用いざれば、是れ死に次ぐの罪、常に治められざるなり。

現代語訳

ある人が言う。「それでは刑罰は教えを助け善を興すものだというなら、過ちを正すこともできよう。では、昔の肉刑のようなものも復活できるのか」と。抱朴子は言う。「どうして不可であろうか。昔、周は肉刑を用い、年を重ねること七百年に及んだ。漢はこれを廃したが、その年代は及ばない。代わりに鞭打ちを用いるようになると、大いに死ぬ者が出た。外には軽刑の名があるが、内には殺人の実がある。罪を犯して、重くても死に至るほどでなければ、その下には徒刑・流刑・鞭杖があるだけである。あるいは恩赦に遇えば、身には何の損もない。しかも生え変わる髪を剃り、治りかけた傷を打つだけでは、死に次ぐ罪を懲らすには足りない。いま肉刑を除けば、死罪の下に中間の刑がなくなり、死に次ぐ罪は徒刑・流刑・鞭杖に止まらざるを得ず、これは軽重の釣り合いを失っている。また犯罪する者は稀に時々あるだけだが、殺すとなると重すぎると恨み、鞭打つだけとなると軽すぎると恨む、そういう案件を犯す者が多い。今、肉刑を用いなければ、死に次ぐ罪は常に正しく処分されない」。

解説

肉刑の復活論です。現代の価値観とは大きく異なりますので、ここでは論理の型だけを読みます。「死罪の下に復た中刑の其の間に在る無く」。つまり、死と軽い罰の間に段階がなく、中間の罪に対する適切な罰がないという制度設計の欠陥の指摘です。この論点は、処分の段階設計に置き換えられます。現代の就業規則でも、戒告から解雇までの間が粗いと、中程度の違反が実質的に放置されるか、過重な処分になります。軽重に釣り合う段階を用意しているか、という点が読みどころです。

この章句が説くこと

死罪の下に復た中刑の其の間に在る無く是れ軽重の適を得ざるなり外には軽刑の名有り内には殺人の実有るなり処分段階

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