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抱朴子外篇 / 用刑

故明君治難於其易,去惡於其微,不伐善以長亂,不操柯而猶豫焉。然則刑之為物,國之神器,君所自執,不可假人,猶長劍不可倒捉,巨魚不可脫淵也。乃崇替之所由,安危之源本也。田常之奪齊,六卿之分晉,趙高之弒秦,王莽之篡漢,履霜逮冰,由來漸矣。或永嘆於海濱,或拊心乎望夷,禍延宗祧,作戒將來者,由乎慕虛名於住古,忘實禍於當己也。」

新字:故明君治難於其易,去悪於其微,不伐善以長乱,不操柯而猶予焉。然則刑之為物,国之神器,君所自執,不可仮人,猶長剣不可倒捉,巨魚不可脱淵也。乃崇替之所由,安危之源本也。田常之奪斉,六卿之分晋,趙高之弒秦,王莽之篡漢,履霜逮冰,由来漸矣。或永嘆於海浜,或拊心乎望夷,禍延宗祧,作戒将来者,由乎慕虚名於住古,忘実禍於当己也。」

書き下し

故に明君は難きを其の易きに治め、悪を其の微に去り、善を伐たずして以て乱を長ぜず、柯を操りて猶豫せず。然らば則ち刑の物たる、国の神器にして、君の自ら執る所、人に仮す可からず。猶お長剣を倒に捉る可からず、巨魚の淵を脱す可からざるがごときなり。乃ち崇替の由る所、安危の源本なり。田常の斉を奪い、六卿の晋を分かち、趙高の秦を弑し、王莽の漢を簒うは、霜を履みて冰に逮ぶ、由来漸なり。或いは海浜に永嘆し、或いは望夷に拊心し、禍は宗祧に延び、戒めを将来に作す者は、虚名を往古に慕いて、実禍を当己に忘るるに由るなり」と。

現代語訳

だから明君は、難しいことを易しいうちに処理し、悪を微かなうちに取り除き、善を誇って乱を助長せず、斧の柄を握って迷わない。そうであれば、刑というものは国の神器であり、君主が自ら握るべきもので、他人に貸してはならない。長剣を逆さに持てず、大魚が淵を離れられないのと同じである。これこそ興廃の由来であり、安危の根本である。田常が斉を奪い、六卿が晋を分け、趙高が秦の君を弑し、王莽が漢を簒奪したのは、霜を踏んで氷に至るように、そこに至る由来が次第に積まれたからである。あるいは海辺で長嘆し、あるいは望夷で胸を打ち、禍いが宗廟に及び、将来への戒めとなった者たちは、古の虚名を慕って、自分に迫る実際の禍いを忘れたことによる」。

解説

「難きを其の易きに治め、悪を其の微に去り」は、問題処理の時機についての簡潔な格言です。ここで注目したいのは、刑を「神器」と呼び、君主が自ら握り人に貸してはならないとする点です。田常、趙高、王莽の例は、権限を他人に預けた末に主客が逆転した事例として挙がっています。現代の組織でも、人事・懲戒・予算といった核心の権限を、都合で他人に預け続けると、気づけば実権を失います。委任してよいことと、手放してはならないことの線引きを考えさせます。

この章句が説くこと

難きを其の易きに治め悪を其の微に去り人に仮す可からず霜を履みて冰に逮ぶ権限初動

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