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抱朴子外篇 / 君道

發號吐令,則車訇若震霆之激響,而不為邪辯改其正。畫法創制,則炳若七曜之麗天,而不以愛惡曲其情。宏略遠罩,則藹若密雲之高結。居貞成務,則確若嵩岱之根地。料倚伏於未萌之前,審毀譽於巧言之口。不使敦樸散於雕偽,不使一體澆於二端。雖能獨斷,必博納乎芻蕘;雖務含弘,必清耳於浸潤。民之饑寒,則哀彼責此;百姓有罪,則謂之在予。嘉祥之臻,則念得神之佑;或逢天之怒,則思桑林之引咎。不吝改弦於宜易之調,不恥反迷於朝過之途。虎眄以警密,麟跱以接疏。路無擊壤之叟,則羞聞和音之作;民有不粒之匱,則愧臨方丈之膳。處飛閣之概天,則懼役夫之勞瘁;茹柔嘉之旨月色,則憂敬授之失時;聆管弦之宴羨,則戚逸樂之有過;瞻藻麗之辨粲,則慮賦斂之慘烈。遵放勛之粗裘,準衛文之大帛;追有夏之卑宮,識露臺之不果;鑒章華之召災,悟阿房之速禍。

新字:発号吐令,則車訇若震霆之激響,而不為邪弁改其正。画法創制,則炳若七曜之麗天,而不以愛悪曲其情。宏略遠罩,則藹若密雲之高結。居貞成務,則確若嵩岱之根地。料倚伏於未萌之前,審毀誉於巧言之口。不使敦樸散於雕偽,不使一体澆於二端。雖能独断,必博納乎芻蕘;雖務含弘,必清耳於浸潤。民之饑寒,則哀彼責此;百姓有罪,則謂之在予。嘉祥之臻,則念得神之佑;或逢天之怒,則思桑林之引咎。不吝改弦於宜易之調,不恥反迷於朝過之途。虎眄以警密,麟跱以接疏。路無撃壤之叟,則羞聞和音之作;民有不粒之匱,則愧臨方丈之膳。処飛閣之概天,則懼役夫之労瘁;茹柔嘉之旨月色,則憂敬授之失時;聆管弦之宴羨,則戚逸楽之有過;瞻藻麗之弁粲,則慮賦斂之惨烈。遵放勛之粗裘,準衛文之大帛;追有夏之卑宮,識露台之不果;鑒章華之召災,悟阿房之速禍。

書き下し

号を発し令を吐けば、則ち車訇として震霆の激響の若く、而も邪辯の為に其の正を改めず。法を画し制を創むれば、則ち炳として七曜の天に麗くが若く、而も愛悪を以て其の情を曲げず。宏略遠く罩えば、則ち藹として密雲の高く結ぶが若し。貞に居りて務めを成せば、則ち確として嵩岱の地に根するが若し。倚伏を未萌の前に料り、毀誉を巧言の口に審らかにす。敦朴をして雕偽に散ぜしめず、一体をして二端に澆からしめず。能く独り断ずと雖も、必ず芻蕘を博く納れ、含弘に務むと雖も、必ず浸潤に耳を清くす。民の饑寒には、則ち彼を哀れみて此を責め、百姓に罪有れば、則ち之を予に在りと謂う。嘉祥の臻れば、則ち神の佑を得るを念い、或いは天の怒りに逢えば、則ち桑林の引咎を思う。宜しく易うべきの調に弦を改むるを吝まず、朝に過てる途に迷いを反すを恥じず。虎眄して以て密を警め、麟跱して以て疎に接す。路に撃壌の叟無ければ、則ち和音の作を聞くを羞じ、民に粒せざるの匱有れば、則ち方丈の膳に臨むを愧ず。飛閣の天を概うに処りては、則ち役夫の労瘁を懼れ、柔嘉の旨月色を茹いては、則ち敬授の時を失うを憂い、管弦の宴羨を聆いては、則ち逸楽の過ち有るを戚え、藻麗の辨粲を瞻ては、則ち賦斂の惨烈を慮る。放勲の粗裘に遵い、衛文の大帛に準い、有夏の卑宮を追い、露台の果たされざるを識り、章華の災いを召くを鑑み、阿房の速やかなる禍いを悟る。

現代語訳

号令を発すれば、車の轟きが雷鳴の激しい響きのようであり、しかも邪な弁論のために正しさを改めない。法を定め制度を創れば、日月五星が天に輝くようにあざやかで、しかも愛憎によって実情を曲げない。大きな方略を遠くまで覆えば、厚い雲が高く結ぶようにたなびく。貞正に居て務めを成せば、嵩山や泰山が大地に根を下ろすように揺るがない。禍福の寄りかかり合う動きを兆しの前に見積もり、毀誉は巧みな言を吐く口のなかで審らかにする。純朴な人を飾りと偽りに散らさず、一つの体制を二つの端に薄めさせない。独りで断じる力があっても、必ず草刈りや木こりの意見まで広く受け入れ、大きく包み込むことに努めても、必ず染み込むような讒言には耳を澄ませる。民が飢えや寒さに苦しめば、彼らを哀れんで自分を責め、民に罪があれば、それは自分にあると言う。めでたい兆しが至れば、神の助けを得たと思い、あるいは天の怒りに逢えば、桑林で自ら罪を引き受けた故事を思う。改めるべき調べには弦を替えるのを惜しまず、朝に誤った道に入ったなら迷いを引き返すのを恥じない。虎のように睨んで密な者を戒め、麒麟のようにたたずんで疎い者に接する。道に地面を打って遊ぶ老人がいなければ、和やかな音楽を聞くことを恥じ、民に穀物のない欠乏があれば、一丈四方の食膳に臨むことを恥じる。天をしのぐ高い楼閣に居れば、労役の民の疲れを恐れ、柔らかく旨い食べ物を口にすれば、暦を授ける時期を誤っていないかを憂い、管弦の宴の盛んさを聞けば、逸楽の過ちを心配し、美しい飾りの華やかさを眺めれば、租税の取り立ての苛烈さを案じる。放勲(堯)の粗い毛皮の衣に従い、衛の文公の厚い絹に準じ、夏の禹の低い宮を追慕し、露台の築造が果たされなかったことを思い、章華台が災いを招いたことを鑑み、阿房宮が速やかな禍いを招いたことを悟る。

解説

「百姓に罪有れば、則ち之を予に在りと謂う」は、民の落ち度を自分の責任として引き受ける為政者像です。号令は雷のように強くても、邪説で正しさは変えず、愛憎で法を曲げない。独断の力があっても「芻蕘を博く納れ」と、卑しい者の意見まで集めます。さらに楼閣、美食、管弦、美装のたびに民の負担を思い浮かべる細やかさが描かれます。現代の経営者にとっては、成果が出たときの喜びと、現場への影響を同時に想像する習慣として読めます。責任を自分に引き寄せ、贅沢の前に負担を思う、その順番が信頼を生みます。

この章句が説くこと

之を予に在りと謂う芻蕘を博く納れ朝に過てる途に迷いを反すを恥じず責任謙虚納諫

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