導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

抱朴子外篇 / 嘉遁

赴勢公子曰:「夫入而不出者,謂之耽寵忘退;往而不反者,謂之不任無義。故達者以身非我有,任乎所值。隱顯默語,無所必固。時止則止,時行則行。束帛之集,庭燎之舉,則君子道長,在天利見。若運涉陽九讒勝之時,則不出戶庭,括囊勿用。龍起鳳戢,隨時之宜。古人所以或避危亂而不肯入,或色斯而不終日者,慮巫山之失火,恐芝艾之並焚耳。

新字:赴勢公子曰:「夫入而不出者,謂之耽寵忘退;往而不反者,謂之不任無義。故達者以身非我有,任乎所値。隠顕黙語,無所必固。時止則止,時行則行。束帛之集,庭燎之舉,則君子道長,在天利見。若運渉陽九讒勝之時,則不出戸庭,括嚢勿用。竜起鳳戢,随時之宜。古人所以或避危乱而不肯入,或色斯而不終日者,慮巫山之失火,恐芝艾之並焚耳。

書き下し

赴勢公子曰く、「夫れ入りて出でざる者は、之を寵に耽りて退くを忘ると謂い、往きて反らざる者は、之を任ぜずして義無しと謂う。故に達者は身を我が有に非ずとし、値う所に任す。隠顕黙語、必ず固くする所無し。時止まれば則ち止まり、時行けば則ち行く。束帛の集い、庭燎の挙ぐるときは、則ち君子の道長じ、天に在りて見るに利あり。若し陽九讒勝の時に運渉せば、則ち戸庭を出でず、括囊して用うる勿し。龍起こり鳳戢まるは、時に随うの宜なり。古人の或いは危乱を避けて入るを肯ぜず、或いは色斯にして日を終えざる所以は、巫山の失火に芝艾の並び焚けんことを慮りてのみ。

現代語訳

赴勢公子は言った。「入ったきり出ない者は、寵愛に耽って退くことを忘れたと言い、出かけたきり帰らない者は、任に当たらず義がないと言う。だから達人は、身を自分の持ち物ではないとし、巡り合わせに任せる。隠れるのも現れるのも、黙るのも語るのも、これでなければと固執するところがない。時が止まれと言えば止まり、時が行けと言えば行く。束ねた絹で賢者を迎え、庭の燎火を挙げて待つ時代には、君子の道が伸び、天に昇る龍が現れるのに利がある。もし厄運の年と讒言が勝つ時世にめぐり合えば、戸口の庭を出ず、袋の口を閉じて用いられないようにする。龍が起こり鳳がやすむのは、時に従う道理にかなったことである。古人がある時は危乱を避けて入ろうとせず、ある時は様子を見て日を終えるまで留まらなかったのは、巫山の火事で芝や艾が一緒に焼けることを恐れたからにほかならない。

解説

公子は再反論に回ります。要点は「時止まれば則ち止まり、時行けば則ち行く」という柔軟さです。隠れるか出るかは固定ではなく時局で決めるもので、乱世なら引き、治世なら出よ、と説きます。古人が引いたのは、火事で芝も艾もともに焼けることを恐れたからだ、と先生の例の読み替えも行います。仕官の可否を、一般論ではなく状況判断の問題に引き戻す論法です。いまの職場でも、異動や転職の判断は同じです。組織が人を求める時期か、疑いが渦巻く時期かで、同じ行動の意味が変わります。固定した信条より、局面の見立てを持てるかどうかが決め手になります。

この章句が説くこと

時止まれば則ち止まり時行けば則ち行く竜起こり鳳戢まるは時に随うの宜なり時勢進退

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る